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【シンガポール駐在員 小林 誠 7月5日発】マレーシア国内でケンタッキーフ ライドチキン294店舗、ピザハット87店舗を展開し、同国における西欧型ファース トフード普及の中心的存在であるKFCホールディングス社は、2000年の課税対象利 益が前年比87%増と大きく伸びたのに対し、2001年第1四半期には前年同期を下回 ったことを公表した。同社では、米国の景気減速の余波でマレーシアの景気が低迷 し、さらに売上げが減少することを懸念している。 KFCホールディングス社の2000年の売上高は、9億9,710万リンギ(約319億1千万 円:1リンギ=約32円)で課税対象利益は8,590万リンギ(約27億5千万円)と99年 の4,590万リンギ(約14億7千万円)を87%上回る大幅な増益となっていた。これに 対し、2001年の第1四半期の課税対象利益は、前年同期に2,387万リンギ(約7億6千 万円)であったものが、2,265万リンギ(約7億2千万円)へと約5%減少している。 同社では、このような収益の低下をマレーシアの主要貿易相手国である米国の景気 減速の余波による、同国の景気低迷の予兆であるとみており、さらなる景気低迷を 懸念している。 97年末にタイから始まったいわゆる通貨危機により、マレーシアも深刻な経済危 機に陥った。政府は、この打開策としてそれまでの変動相場制から、同国の通貨リ ンギの交換レートを固定し、1米ドル=3.825リンギとするという固定相場制に移行 した。この措置によって、原材料などを輸入に依存している飼料産業や種鶏場を含 む養鶏産業は恩恵を受けており、安定的に収益をあげられることとなった。 しかし、金融市場関係者のあいだには、現在のレートは、リンギを過大評価して いるという見方が支配的であり、昨年末以来、リンギが切り下げられるといううわ さがとびかっている。政府当局は否定しているものの、リンギの切り下げが行われ れば、鶏肉および関連製品の国内価格が上昇することは必至であり、同国の経済不 振とあいまって、外食産業が不振に陥るというというのが、KFCホールディングス 社の見方であり、今後の推移が注目される。
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