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連邦と各州政府、今後の農政基本計画に合意(カナダ)



【ワシントン駐在員 樋口 英俊 7月5日発】バンクリフ連邦農業大臣および各
州政府(準州を含む)の農業大臣は6月29日、今後の農業政策の策定に向けた基本計
画について、おおむね合意に達したことを明らかにした。こうした計画がとりまと
められた背景には、カナダの農業部門が、食品安全性、環境問題、科学技術の発達に
伴う諸課題、自然災害などによる所得減少への対応、生産者の高齢化など多くの問
題に直面しており、同部門の今後の発展には、政府がこれらの問題に対して包括的
に取り組むことが重要との認識があった。

 今回の基本計画の中では、農業部門の目標を、カナダが食品安全性、技術革新、環境
保護的な生産手法の分野で世界のリーダーとなることにより、農業および関連産業
の長期的な繁栄を確実なものにすることとしている。また、この目標を達成するた
めには、@包括的な政策の枠組みを有しつつ、一貫性と柔軟性を兼ね備えたアプロ
ーチを確保すること、A生産者とその他の利害関係者が協力して政策を立案するこ
と、B国際貿易ルールに従うこと、C市場においてカナダの農産物が有利となる国
際基準が設定されるようにカナダの食品安全性などについてのリーダーシップを行
使することなどの原則に基づくべきとされている。

 基本計画の具体的な優先事項については、まず、農家段階での食品安全性の確保
が挙げられている。これには、カナダ食品検査局(CFIA)が主体的に関与し、HACCP
に基づく農家食品安全性プログラム(OFFSP)や食品の流通におけるトレーサビリ
ティを確保するシステムの導入を検討することが合意された。

 また、自然災害その他予期せぬ事態による所得の低下に対処するためのセーフテ
ィネットの重要性についても、大臣間の認識が一致し、2002年中に現行のセーフテ
ィネットおよび災害支援プログラム改善の検討を終了することとした。

 このほか、高齢化により多くの生産者が引退するものと予測されるため、新規就
農を希望する人々に対してより良い準備が可能となる方策を提供すること、環境問
題に関する目標・予定および実施方法などを定めること、農業の研究開発の強化お
よび消費者の新技術への信頼性向上を図ることなどが、今後の検討課題として挙げ
られている。

 カナダ最大の生産者団体であるカナダ農業連盟は、今後、詳細の詰めに多くの作
業が残されているものの、基本計画は、農業の経済的、社会的および環境的な継続に
つながるカギとなるものとの見方を示し、これを支持する声明を発表した。しかし、
家族経営の生産者から構成されるナショナル・ファーマーズ・ユニオンは、現在、
経済的な苦境に陥っている生産者に必要なことは、生産者の利益を奪っている高い
投入コストを引き下げることであり、基本計画は、それを提供するものではないと
批判した。こうした賛否の中、計画の具体策がどのようになるのか、今後の作業に
注目したい。


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