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EU全体に波及する口蹄疫の影響



【ブラッセル駐在員 山田 理 3月15日発】フランス農漁業省は3月13日、北
西部マイエンヌ県で口蹄疫の発生を確認したと発表した。先月20日のイギリスでの
口蹄疫発生後、欧州大陸での発生確認は初めて。発生農場を中心に半径3キロの防
疫区域および半径10キロの監視区域が設定され、同農場で飼養されていた牛114頭
は全頭処分された。同農場から500m離れた農場で飼養されていたイギリス産羊が
発生源と考えられている。

 イギリスから生体羊などを輸入していたフランスを含む域内各国は、イギリスか
らの輸入家畜などの処分、家畜の移動制限、口蹄疫検査などの感染防止策を実施し
てきた。しかし、感染力の強い口蹄疫の大陸拡大に対する懸念は、ついに現実のも
のとなった。フランスと境界を接する諸国は特に感染拡大防止策の強化を迫られる
こととなった。

 フランスでの口蹄疫発生を受けて、EU委員会は、13日に開催された常設獣医委
員会(SVC)での審議を経て、@生体家畜(牛、羊、ヤギ、豚およびその他の偶
蹄類)および精液、受精卵について、フランスから他の域内国および域外国への輸
出禁止、Aこれらの家畜から得られた食肉、乳、乳製品、皮など畜産物について、
マイエンヌ県およびウール県から県外へ輸送禁止とする感染防止策を採択した。た
だし、2月16日以前に生産されたものおよび生産過程における処理により口蹄疫感
染の危険性のない畜産物は対象から除外される。この措置は3月27日までの暫定的
なもので、3月20日、21日に開催されるSVCで再度検討される予定である。

 米国やカナダは、口蹄疫の発生が確認されたイギリスやフランスだけでなく、E
U全域を対象に家畜(豚および反すう動物)およびこれらの家畜から得られた食肉
などについて、暫定的に輸入を禁止した。こうした動きはオーストラリア、韓国な
ど他の諸国にも広がっている。

 EUは、羊肉については純輸入国となっているものの、牛肉、豚肉について純輸
出国で、その輸出量(99年)は、牛肉で96万1千トン、豚肉で155万トンに達する。

EU産家畜・食肉等の輸出相手先(99年)
              (単位:千トン)
牛 肉 豚 肉
ロシア

402

ロシア

591

エジプト

199

日本

258

レバノン

62

韓国

99

サウジアラビア

31

香港

91

アルジェリア

22

米国

76

輸出合計

961

輸出合計

1,550

資料:MLC
注:牛肉は枝肉ベース、豚肉は製品ベース、生体等も含む

 昨年末に再燃した牛海綿状脳症(BSE)問題を契機にEU産牛肉の輸入禁止に
踏み切った国も多く、今回の措置は主にデンマークやオランダなど豚肉輸出国に影
響を与えるものとみられる。

 EUは、口蹄疫の発生地はイギリスとフランスの1県に限定されており、適切な
感染防止策も実施されているとして、米国などのEU全域を対象とした禁輸措置は
過剰で不必要なものと批判し、反発を強めている。


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