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【ブラッセル駐在員 山田 理 5月10日発】2002年の欧州食品機関(European Food Authority:EFA)設立に向けて、暫定諮問委員会が5月7日、加盟国政府 の食品安全を所管する組織の代表者等を集めて、ブラッセルで開催された。 この会合は、@EFAのカウンターパートとして諮問委員会の構成員となるべき 各国の組織についての確認およびA各国組織間のより親密な連携作りを目的として いる。今後、年末まで数回開催され、各国組織間の科学的および技術的な事項等に 関する連携問題について、協議する予定である。ここ数年、食品行政の体制が変わ った国も多いため、現段階での各国組織に関する確認が必要と判断された。 EU委員会のバーン委員(公衆衛生/消費者保護担当)は、早期のEFA設立を 実現するため、諮問委員会の先駆者として、この会合を召集したと述べるとともに、 EFAの責務を遂行する、すなわち、食品安全性に対する消費者の信頼を回復させ るためには、各国組織とEFAとの緊密な連携が重要であると強調した。 欧州では、96年のイギリスを中心とした牛海綿状脳症(BSE)や99年の鶏肉等 のダイオキシン汚染など、食品の安全性に対する消費者の信頼を揺るがす問題が頻 発している。このため、99年9月に発足したプロディを委員長とする現EU委員会 は、食品安全性確保の問題を最優先課題として取り組んでいる。 この中でも、EFAの設立は、食品安全問題解決のための、最重要基盤対策とし て位置付けられた。さらに、昨年末に、大陸でも再燃したBSE問題や遺伝子組み 換え(GM)食品などの問題により、1日も早い設立が強く求められている。 一方、EFAの設置に関する規則案は、各界からの意見を募った上で取りまとめ られ、昨年11月8日、EU委員会から公表された。現在、理事会および欧州議会で 協同審議が進められている。欧州議会では、早ければ6月12日に採決される見込み である。また、議長国のスウェーデンが理事会での早期の採択に向けて、調整を続 けている。 規則案によると、EFAは食品に関する独立した専門機関として、委員会、加盟 国、各国の食品関連機関または欧州議会の要請に応じて、政策や法令を決定する際 などに、科学的な見解を提供する。対象は、食品安全のみならず、家畜衛生、動物 福祉、農薬および栄養に直接・間接的に関連するすべての事項など、広範囲にわた る。 組織体制は、運営委員会で指名される長官の下、330人(当初は250人)のスタッ フ、運営委員会、諮問委員会および科学小委員会(パネル)で構成される。 諮問委員会は、加盟国政府の食品安全を所管する組織の代表者15人などから構成 され、EFAや各国組織間などの意見対立を調整する場として機能することが期待 されている。
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