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ケースレディー・ミート生産に取り組む米パッカー



【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 5月7日発】合併や買収によって巨大化する
大手スーパーマーケット・チェーンにおいては、取引の効率化、低コスト化を図る
ため、規格化された商品を少数の供給先から大量に仕入れようとする動きが急速に
高まってきている。

 こうした小売サイドのニーズに応えるため、食肉分野においても、パッカーの統
合による寡占化が進展するとともに、その商品形態にも変化が見られるところとな
っている。小売店においては、部分肉を仕入れ、店内でカットし、トレー入りの精
肉パックとして販売するのが一般的であるが、近年パッカーが、このような精肉パ
ックの生産までも手がける例が増えてきている。こうした商品は、「仕入れ後すぐ
にショーケースに並べられる」という意味で、ケースレディー(case-ready)・ミ
ートと呼ばれている。

 先ごろ米国の食肉業界誌「ミート・アンド・ポルトリー」に掲載されたレポート
によれば、その増加要因として、@消費者が、品質や価格に加え、ブランドや簡便
性を重要視してきていること、こうした中で、小売サイドにおいては、Aひき肉を
中心とした安全性の確保や、カットの斉一性による規格化に努める必要があること
(これらの役割を川上のパッカーに求めることによって合理化が図られること)、
B減耗や販売ロスを低減できることなどが挙げられている。一方、パッカーにとっ
ても、自社名またはブランド名を打ち出すことによって、消費者に対する商品の差
別化・定着化を図るという、川下への進出メリットが期待できる。ケースレディー
・ミートは、こうした小売、パッカー双方の思惑が符合したものであると言える。

 このレポートによれば、99年にケースレディーの形態で販売された牛ひき肉の割
合は、全体の約7.5%であったのが、2000年には15%に増加し、これが2001年には
30%、2003年までには50%を超えるものと予測されている。また、カット牛肉につ
いては、ひき肉に比べるとまだその割合は低いが、99年の約2.5%から2000年には
5%にまで増え、2001年に10%、2003年までには20%に達するものと見込まれてい
る。このような急速な伸びは、昨年4月に小売最大手のウォルマートが、将来的に
ケースレディーを100%にするという決定を行ったことが引き金になったとされて
いる。

 世界最大の食肉パッカーであるIBP社においては、現在、ケースレディ・カッ
ト肉(牛肉90種類、豚肉50種類)を3工場、同牛ひき肉を2工場で生産し、ウォル
マートほか小売12社の各店舗で販売しており、今後も、こうした機能を持った工場
を増やしていく考えであるという。レポートでは、このほかにも、カーギル社、コ
ナグラ社、ファームランド社といったパッカーによる牛肉のケースレディーへの積
極的な取組状況や、豚肉最大手のスミスフィールド社の例が紹介されている。

 また、ケースレディー・ミートの特徴としては、消費者が好む、発泡スチロール
よりも頑丈なプラスチック製のトレーを用いて、鮮度を保つために酸素濃度を低く
抑えて密封するMAP(modified atmosphere packaging)という包装方式を採用
する例が多いと報告している。

 レポートは、パッカーが施設の改修などにどれだけ対応できるか、消費者や小売
サイドのニーズがどこまで高まるかといった点が、今後のケースレディー・ミート
の拡大のカギであると指摘している。


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