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EU世論調査、共通農業政策の情報不足を指摘



【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 5月24日発】EU委員会は先般、昨年実施さ
れた共通農業政策(CAP)に関する世論調査結果を発表した。調査対象の一般市
民および農民のうち、CAPについて聞いたことがある人は5割しかいないという
結果で、情報不足が指摘された。なお、牛海綿状脳症(BSE)問題の再燃、口蹄
疫の発生に伴い、市民の関心が高まっていることから、最新の動向をつかむため再
度調査を実施する予定である。

 世論調査は、2000年CAP改革採択後の農業総局広報活動評価の一環として、委
託調査として実施された。昨年9月27日から11月2日まで、一般市民1万6千人、
農民3千5百人を対象に、電話による聞き取り調査が行われた。調査結果概要は次
の通りである。

 農業が重要と考えている人は92%であるが、CAPについて聞いたことがある人
は50%しかいなかった。また、食品安全性、環境保全、農業収入保護、国際市場で
の欧州農業の競争力など12政策目的の重要性に関する質問については、すべての事
項で多数(76〜97%)が重要と答えたが、農業収入と小規模農家の保護については、
一般市民および農民共に支持率が低かった。一方、食品安全性と環境保護は優先事
項と位置付けられた。

 生産補助金および市場介入の削減と直接支払いへの転換という改革の方向を両グ
ループ共に支持した。しかし、63%の農民はCAPが自分のために好ましいもので
はないと感じていた(ただし、アイルランドとデンマークの農民は例外)。農民の
59%、一般市民の46%が農業基金(予算)を増やすべきと考えていた。なお、国別
内訳では、デンマークが13%の支持と最低で、ギリシャの76%が最高だった。

 また、調査では、国際的な農業政策の情勢に対する早急な情報提供の必要性が明
らかになった。EUで提案されている拡大(中・東欧諸国の加盟)に関し、両グル
ープの半分が何らかの情報を得ていたが、十分な情報を得ていると答えたのは、農
民の20%、一般市民の10%だけだった。おそらく情報不足によるものと思われるが、
両グループの大半は、EU拡大の影響について悲観的に見ていた。欧州の未来に悲
観的だった。世界貿易機関(WTO)の貿易交渉に関しては、農民の65%、一般市
民の77%が何も聞いておらず、十分な情報を得ていると答えたのは、両グループと
もにわずかだった。

  CAPについての意見とともに情報源についての質問も行われた。当然ながら、
ほとんどの人の情報源はテレビだった(一般市民:85%、農民:66%)。新聞の情
報については、農民が専門農業紙(64%)から情報を得る一方、一般市民は主に一
般紙(61%)から情報を得ていた。インターネットを情報源としている人は平均で
10%、国別ではオーストリア農民の27%からギリシャ農民の2%まで幅があった。
一般市民では、より若い教育を受けた男性のインターネット利用率が平均の2倍だ
った。農民では、若者および大規模農家のインターネット利用が比較的多かった。

 フィシュラー委員(農業・農村開発・漁業担当)は、「この結果は、食品および
農業の将来についての議論は政治家と専門家のみにとどめられないことを示してい
る。一般の関心は、BSE、口蹄疫問題以降さらに高まっている。これに対応する
ため、バーン委員(保健・消費者保護担当)とともに既にアクション・プランを立
ち上げており、加盟国との議論、インターネットによる意見交換(6月6日)、E
U議会と共同の会議(6月20〜21日)を計画している」と述べた。EU委員会では、
これらを通じ、来年に予定されているCAPの中間見直しの方向性を探ることとし
ている。


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