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【ブラッセル 島森 宏夫 3月28日発】EU委員会は3月25日、抗生物質の成長 促進用飼料添加物としての使用禁止などを提案した。 バーン委員(公衆衛生・消費者保護担当)は、「この提案は、99年9月の約束の 実現である。最近の食品危機において、我々皆は飼料の安全性が一番重要であること を学んだ。このため、錯そうしている飼料添加物に関する規則などを単純化、明確化 することとした。」と述べた。今後、EU農相理事会および欧州議会が同提案を共 同審議する予定である。 提案の概要は以下のとおり。 1 抗生物質の使用禁止 現在、成長促進用飼料添加物として認められている4種類の抗生物質(下表)の 使用を、2006年1月までに段階的に取りやめる。
抗生物質名 |
対象家畜 |
フラボフォスフォリポール Flavophospholipol |
ウサギ、採卵鶏、七面鳥、ブロイラー、子豚、 豚、子牛、肥育牛 |
モネンシンナトリウム Monensin sodium |
肥育牛 |
サリノマイシンナトリウム Salinomycin sodium |
子豚、肥育豚 |
アビラマイシン Avilamycin |
子豚、肥育豚、ブロイラー、七面鳥 |
この措置は、抗生物質へ耐性を持つ微生物・寄生虫の増加問題対策の一環とし て位置付けられている。 また、鶏病のコクシジウム病予防・治療薬として用いられている抗生物質の承 認については、4年以内に再評価するとともに、人・動物への危険性回避のため の最大残留限度量設定など規制を強化する。 なお、99年に欧州家畜衛生連盟(FEDESA)が行った抗生物質の使用状況調 査によれば、人には8,500トン(全体の65%)、家畜には4,700トンの抗生物質(全 体の35%)が使用された。家畜に対する使用量の内訳は、疾病治療用が3,900トン (全体の29%)、成長促進用飼料添加物としての使用量は786トン(全体の6%)だった。 99年の飼料添加物の使用量は97年(約1,600トン)に比べ半減した、と推定されてい る。 2 承認手続きの明確化・透明化 安全な飼料添加物のみが流通可能な体制を確立するため、飼料添加物の承認方法 を改正する。対象飼料添加物は、飼料および動物用飲料水に添加して用いられる物 質で、香味料、ビタミン類も含まれる。飼料添加物は、大きく5つ(@保存料など の製造技術的添加物A香味料、着色料などの知覚添加物Bビタミンなどの栄養添加 物C腸内細菌叢改善剤(整腸剤)、非抗生物質の成長促進剤など畜産技術的添加物 D鶏病のコクシジウム病予防薬)に分類できる。 飼料添加物について、承認されたもののみを、一定の適用畜種、最大残留限度量 の範囲で、流通・使用を可能とする。新規の承認についての有効期限を10年間に限 定するとともに、現在既に承認されている飼料添加物については今後7年以内に再 審査・再承認を義務付ける。また、承認期間の延長は、承認失効の1年以上前に申 請すれば可能とする。 承認を申請する会社に対し、飼料添加物の動物への効果および人・動物・環境へ の安全性の証明を義務付ける。設立準備中の欧州食品安全機関(EFSA)が、飼 料添加物の評価を担当する。EFSAは評価のための指針を作成するとともに、関 係者からの意見聴取を含む透明性のある評価作業を行う。
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