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家畜伝染病緊急対応協定が官民合意(豪州)


【シドニー 粂川 俊一 3月27日発】豪州連邦政府のトラス農相は3月20日、3
月上旬に官民で合意された家畜伝染病緊急対応協定(Emergency Animal Disease
Response Agreement)について正式に発表した。この協定は昨年8月、豪州ニュー
ジランド農業資源管理評議会で合意された家畜伝染病緊急対応(Emergency Animal 
Disease Response Preparedness)計画の一環として家畜伝染病発生時の関連コス
トを官民で分担して負担することを主な内容とするものである。
 
  この協定は、過去4年にわたって検討されていたもので、連邦政府や各州政府、
主要な畜産業組織の協力を通じて、病気の侵入あるいは発生に対する初期対応のた
めの資金供給を確実にするものとしている。

  また協定では、人間の健康や社会経済、環境、家畜生産への影響に応じて政府と
産業の間のコストのシェアを4つのカテゴリーに分類しており、現在は63の病気を
指定している。分類の再検討や状況の変化によって新たな病気を加えることができ
る。

  病気発生に対応するコストは関係する産業の総生産額(Gross Value of Production
:GVP)の1%が基本的な上限とされる。

  4つのカテゴリーは次のとおり。
  ・カテゴリ−1(負担:全額政府):日本脳炎、ニパウイルスなど5種類
  ・カテゴリ−2(負担率:政府80%、産業20%):牛海綿状脳症(BSE)、
    口蹄疫など15種類
  ・カテゴリ−3(負担率:政府50%、産業50%):炭そ、ニューカッスル病
    など16種類
  ・カテゴリ−4(負担率:政府20%、産業80%):豚インフルエンザなど27
    種類
        
  政府負担については、それぞれのケースで連邦政府が50%負担し、各州政府間の
負担は、人口や産業のGVPなどによりケースバイケースで算出される。

  産業負担については、2つ以上の畜種に関わる家畜疾病は、畜種別の産業のGV
Pやその家畜疾病の重要性による重み付けによりそれら産業ごとの割合が算出され
る。さらに、産業界内でもGVPによる再分担(牛関連業界の場合、フィードロッ
ト以外の肉牛産業、フィードロット産業、酪農産業による分担)がある。各々の産
業の負担金は、その産業ごとに適切な手段によって得られるとされる。

  そのほか、この協定は他の重要な家畜伝染病対策とも関連を持ち、対応する人の
訓練や危険緩和に関する官民の専門家による協議会の設置なども含んでいる。

  トラス農相は、豪州の畜産業は重要な労働市場であるとともに主要な輸出産業で
あることなどから、国家経済へ大きく貢献しており、国際競争上の利点の1つとし
て主要な家畜伝染病の清浄性を挙げている。ただし、世界中の消費者が豪州の防疫
能力を注視しており、今回の協定合意は家畜伝染病発生時の対応能力を迅速かつ効
果的にするものとしている。

  なお、合意発表に引き続き3月21日には、連邦議会が、連邦政府、州政府の検疫
に対する権限強化や検疫上危険な物質の不法輸入に対する罰則強化などを内容とす
る検疫法(Quarantine Act)の改正案を通過させるとともに、病気発生時の国家レ
ベルの模擬演習が今年9月に計画されるなど、家畜衛生対策の一層の強化が図られ
ている。



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