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バーベキュー・シーズン到来に向け、消費拡大に取り組む米食肉業界


【ワシントン 渡辺 裕一郎 4月18日発】屋外でのバーベキュー好きな米国人に
とって待望の季節がやって来る。最近の生体価格の急落もあり、米国の生産者団体
は、牛肉、豚肉ともに、こうしたバーベキューシーズンにターゲットを絞ったステ
ーキ肉などの消費拡大活動をはじめとする各種取り組みを通じて価格の回復を図ろ
うと躍起になっている。

 まず、牛肉についてであるが、先月のカンザス州における口蹄疫に関する誤報騒
動以降、内外の牛肉需要の減退、生体重やと畜頭数の増加もあり、生体牛価格が下
落しているのは既報のとおりである。米農務省(USDA)が15日に出した見通しでも、
今年前半は前年を下回る価格水準となることが予想されている。

 こうした中で、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、消費者にバーベキュー回
数を増やしてもらい、そのとき食材に牛肉を選択してもらうことを目的とした宣伝
活動や消費者とのコミュニケーション活動などを5〜9月の期間に実施する。これ
には、200万ドル(約2億6千万円:1ドル=132円)のチェックオフ資金が充てら
れる予定である。重点地域としては、ロサンゼルス、ダラス、ワシントンDC/ボル
チモア、ボストン、デトロイト、ニューヨークなどの主要都市が選ばれ、バーベキ
ューの主導権を握る25〜54歳の男性に焦点を当てた、バーベキューで最も人気の高
いステーキに関するラジオ・スポットの放送や主要スーパー・チェーンでの各種デ
ィスプレーの設置などが行われる。特に、ラジオ・スポットについては、この夏の
間に、ターゲットとなる男性の72%が6回は耳にするよう計画されている。

 さらにNCBAは、@米国内の店舗において豪州およびニュージーランド産牛肉を挽
き材の一部として今後試験的に使用する意向のマクドナルド社(注:これまで同社
は米国産牛肉のみ使用)と連携し、逆に同社の世界約3万店舗において米国産牛く
ず肉を用いるという構想の実現に向けて作業を開始すること、A日本における米国
産牛肉の安全性に関する信頼回復のための米国食肉輸出連合会(USMEF)によるキ
ャンペーンを支援すること、なども明らかにしている。

 一方、豚肉についても、国内における牛肉や家きん肉の供給量の増加による需要
の減退などから、2月末以降生体豚価格が急落し、USDAの見通しでは、年間を通じ
て見ても100ポンド当たり平均価格が前年比13%安の40ドル(約117円/kg)近くま
で下がることが予想されている。

 98年のような大暴落の再来を懸念する全国豚肉生産者協議会(NPPC)は、短期的
な価格回復策として学校給食プログラムや緊急食糧援助プログラムなどのためのUS
DAによる豚肉の買い上げを要請するとともに、と畜能力を超えた生産増を招かない
ための長期的な戦略作りに着手したとしている。

 また、牛肉の場合と同様に、豚肉チェックオフ制度の実施機関である全米豚肉ボ
ード(NPB)は、「炎ある所に豚肉あり(Where There's Pork, There's Fire)」
と銘打った、小売店におけるバーベキュー用豚肉製品の販売促進キャンペーンの開
始を明らかにした。

 なお、牛肉、豚肉双方にとっての共通のライバルである家きん肉に関し、ロシア
における米国産家きん製品の輸入禁止措置が米国内における家きん肉の供給増を招
き、これが食肉市場を圧迫しているとして、NCBAおよびNPBとも、早期全面解禁へ
の大きな期待を寄せている。米国でも、牛肉、豚肉、家きん肉それぞれの業界によ
る熾烈なパイ(消費者)の奪い合いは終わりそうにない。


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