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ブッシュ大統領を迎えたNCBA年次総会


【ワシントン駐在員 樋口 英俊 2月14日発】全米肉牛生産者・牛肉協会(NC
BA)は2月6日から9日の間、コロラド州デンバーで年次総会を開催した。今回
のハイライトの一つは、NCBAの前身時代を含めた104年の歴史の中で、初めて
現役の大統領が出席したことで、ブッシュ大統領は肉牛生産者を前に、上院での審
議で大詰めを迎えつつあった(2月13日に通過)次期農業法案などに関して演説を
行った。

 ブッシュ大統領はこの中で、肉牛生産者の連邦政府に依存しない姿勢について高
く評価したほか、米国が純輸出国として他国に食肉の供給を依存しなくて良い状況
にあることに感謝の意を示した。これに続いて同大統領は、次期農業法案に対する
行政側の要望について、@潤沢な予算を確保すること。ただし、同法案の実施期間
において、ほぼ均衡に配分すること、A過剰生産をもたらすことのないセーフティ
ネット機能を確保すること、B貿易の拡大につながること、Cグラスリー上院議員
(共和党・アイオワ州)が提唱しているような農家積立口座をリスク管理手段とし
て導入すること、などの点を改めて説明した。

 NCBAは総会中、今後の農業政策に関する運動方針を定めた。このうち、牛肉
の原産地表示の義務化については、前年の総会ではこれを支持するとしていたもの
の、今年は、州レベルの団体からの反対により、業界の自主的な表示を支持するこ
とに変更された。このほか、@水資源の権利を連邦政府の管轄下に置くなどの立法
措置には断固反対すること、A生体牛の売買に関して、パッカーの集中化が不公正
な取引につながっていないかどうかを見極めるため、牛肉業界の様々な部門の出身
者から構成される監視委員会の設置を議会に働きかけること、B年末に予定されて
いる、水質保全を目的とした大規模畜産経営体(CAFO)への環境規制の最終規
則公表に向けて、関連省庁との連絡を密にするとともに、規制の枠内に収める技術
の利用が可能となるよう研究を進めること、などが決定された。

 また、今後展開される販売促進活動については、将来「母親」として、家族の食
事を担う10歳前後の女児に焦点を絞ったキャンペーンを実施することが発表された。
例えば、4月から行われる広告キャンペーンでは、ソルトレークシティ五輪・フィ
ギュアスケートの米国代表であるサシャ・コーエンを起用し、牛肉が健康的な食事
の一端を担うことを「J-14」、「Girls' Life」などのティーン向け雑誌上で訴求
する予定となっている。

 こうした活動は、肉牛の取引時などに肉牛生産者などから課徴金を徴収するチェ
ックオフ制度に基づくものであるが、現在サウスダコタ州の連邦地方裁判所で、そ
の是非について、引き続き審理が行われている。今回発表された肉牛生産者への第
三者調査によれば、68%が同制度を支持、20%が不支持との結果であった。また、
72%がチェックオフ制度は豚肉や家きん肉との競争上、役に立っていると答えてい
る。一方、チェックオフ制度に関する情報提供について、十分または多少得ている
と回答した人が61%、得ていないなどと回答した人が39%に上った。

 今回の年次総会では、NCBAの新会長にアイオワ州の肉牛生産者であるウィス
・ウィリー氏が就任し、次期会長としてアイダホ州の肉牛生産者であるエリック・
デイビス氏が選出された。


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