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東マレーシアで業績を上げる鶏肉鶏卵総合企業


【シンガポール駐在員 宮本 敏行 1月24日発】マレーシアの国土領域は、マ
レー半島部の西マレーシア地域、ボルネオ島北部の東マレーシア地域に分かれ、
経済開発が進んだ半島部に人口の85%が住んでいる。そして、グローバルな事業
展開を目論む企業は首都クアラ・ルンプールを擁する半島部に本社を構えるケー
スが多く、農畜産業に携わる企業もその例外ではない。そうした中、東マレーシ
アのサバ州を根拠地とするコムサ・ファームズ社は、近代的な設備を備えた大規
模な鶏肉鶏卵総合企業として業績を伸ばしている。

 同社は、98年に設立されたブロイラーおよび鶏卵の生産から流通までを一手に
行うインテグレーターであり、創業からの期間は短いながらも堅実で先を見越し
た経営で今や同国で最大の食品総合企業の一つとして知られている。同社は人々
の生活圏から離れた海抜800メートルの高標高地帯にあり、580ヘクタールの敷地
に2万〜2万4千羽を収容する最新式のブロイラー鶏舎を33舎、採卵鶏舎を24舎
保有する。ブロイラーの1ヵ月当たりの生産量は100万羽で、鶏卵は1日当たり
75万個が生産されている。

 また、種鶏舎はブロイラー用が17舎、採卵鶏用が3舎あり、1ヵ月当たり70万
羽のブロイラーひな、12万羽の採卵鶏ひなを生産している。これらのうち、6〜
7割は自社での生産に使用され、残りはインドネシアをはじめ、ボルネオ島のブ
ルネイ、サバ州に隣接するサラワク州に出荷されている。さらに、昨年11月には、
1時間当たり25トンの飼料を生産可能なオートメーション化された飼料生産工場
が完成し、今後のブロイラーや鶏卵の生産増に備えた体制の整備も進みつつある。

 近い将来、同社が達成したいとして掲げる目標は、ブルネイ、インドネシア、
マレーシアおよびフィリピンで構成される東アセアン発展地域(BIMP-EAGA)の
中で、安全性と品質に配慮した最もインテグレーションが進んだ総合企業として
君臨することである。同地域は合計で4千6百万人の人口を抱え、そのうち、9
割はイスラム教徒とされる。同社が位置するサバ州は、鶏肉を好むこれらの国々
で構成されるエリアのほぼ中心に位置しており、コー社長は本社をサバ州に置い
た理由を、長期的な戦略を考慮した結果と語っている。また、マレーシアは、人
々の生活環境に配慮した畜産政策の一環として、人口密集地から離れた特定の地
域に畜産エリアを集約する計画を着々と進めており、過密化が進む半島部をいち
早く離れた同社の選択は、この政策方針にも合致したものとして政府からも歓迎
されている。

 なお、同社は、輸出を念頭に置いた将来的な事業発展のかぎとして、第一に製
品の安全性を挙げている。その実現に向け、専門家から成る特別チームを編成し
てISO(国際標準化機構)の承認やHACCP(危害分析重要管理点)の整備
に積極的に取り組んできた実績から、多くの畜産企業が不況にあえぐ中で将来へ
の展望に自信を示している。

 マレーシアをはじめとするアセアン各国は、2003年を目途にアセアン自由貿易
圏 (AFTA)の発効を目指しているが、コムサ・ファームズ社の例に見られ
るように、アセアンの経済圏の中でも、先行企業が手をこまねいていた特定の地
域に本拠地を構える戦略的な経営手法をとる企業が着実に成長しつつある。AF
TAの成立が間近になるにつれ、こうした企業の動きは一層重要になってくるも
のと思われる。
 

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