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EU委、原産地呼称保護への登録申請書をHPに掲載(EU)


【ブラッセル関 将弘 8月29日発】  世の中には膨大な種類の食品があり、
その中で、ある産品・製品が国境を越えて評判を得るようになると、その産品・
製品の偽物や、当該産品・製品と同じ名前を用いるものが現れることがある。
このように不正な産品・製品の出現は、正当な生産者の商業活動の邪魔となる
ばかりではなく、消費者を惑わすことにもなる。

 このようなことから、欧州連合は、原産地呼称保護制度を制定・運用している
が、EU委員会は、この原産地呼称保護制度について、登録申請しているもの
への異議申し立てのための調査を容易にするため、8月27日から登録申請中の
申請書をホームページに掲載することとした。

 欧州連合においては、地理的に区別された地域における確かな特徴をもつ高品
質の農産物について、価値が高まるようその名称を保護し、農業生産の多様性を
維持・確保するため、「原産地呼称保護制度(Protected Designation of Origin、
PDO)注1」、「産地表示保護制度(Protected Geographical Indication、
PGI)注2」、「伝統的特産品保証制度(Traditional Speciality Guaranteed、
TSG)注3」を1992年創設した。

 この制度の下、製品を登録する際は少なくとも6ヵ月前に、EU委員会は申請さ
れた製品の主な特徴をEU官報に掲載しなければならないとされている。これは、
登録申請に対して、他の生産者などが異議申し立てを行う権利を確保するためであ
り、透明性のある登録手続きは、他の利害関係者が異議申し立てを行う権利を行使
する上で必要条件となっている。このような中、数多くのEU官報に掲載されてい
る登録申請中のものについての調査を容易にするため、すべての申請についてEU
委員会農業総局のホームページに掲載した。

 このことにより、PDOなどへの登録前の調査がより透明性があり、簡素で効果
 的に行われることが期待されている。

 なお、現在、この制度においては、チーズ、肉製品、肉、動物由来製品(卵、蜂
 蜜、バターを除く乳製品等)、果物・野菜及び穀物、魚・魚介類及び加工物、ビ
 ールなど12の区分があり、チーズでは144銘柄が登録されている。また、全産品の
 登録数を国別で見ると、フランス産が最も多く129銘柄、次いでイタリア産が116
 銘柄登録されている。

注1 PDO:特定の地域・場所に由来する、固有の自然的あるいは人的要因によ
              って品質、特徴が規定されるもので、特定の地域で生産・加工・調  
              整された食品(例)パルマハム(イタリア)、ノルマンディーのカ
              マンベール(フランス)など

注2 PGI:特定の地域・場所に由来する品質、特徴を有するものであり、当該
              地域において生産、加工または調整のいずれかが行われた食品 
            (例)アルデンヌハム(ベルギー)、バイヨンヌハム(フランス)、
                サヴォアのエメンタールチーズ(フランス)など

注3 TSG:組成や製造方法などにおいて伝統的な特徴を有している食品
            (例)モツァレラチーズ(イタリア)、ハモンセラーノ(スペインの
                生ハム)など

参考:ホームページ掲載アドレス
http://lin.alic.go.jp/alic/week/2002/sep/(http:/www.europa.eu.int/comm/agriculture/foodqual/protec/firstpub/index_en.htm)        

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