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04年7月1日からの義務化を目標 連邦政府と豪州各州(準州を含む)政府の第一次産業大臣による、農林水産お よび食品産業の振興を目的とした「第一次産業大臣会議」が4月10日、ブリスベ ンで行われた。今回の会議では、牛の管理に関して、従来から推進している個々 の牛に対して電子標識(耳標)装着を行う全国家畜個体識別制度(NLIS)を 全州で義務化する一方、一定の条件の下に群管理も認めることで合意した。義務 化は2004年7月1日からを目標としている。 豪州肉牛協議会(CCA)ではこの合意が生産者にとって利益になると歓迎し ている。特にクインズランド州、北部準州や西オーストラリア州の北半分では、 多くの牛が直接、と場や食肉業者に販売されることから、現行の流通制度のまま で対応が可能となる。 今回議題となった中で畜産関連の主な内容は次の通り。 ○家畜の個体識別とトレース 豪州で実施している電子標識(耳標)を利用した牛の全国家畜個体識別制度 (NLIS)については、現在、EU輸出向けとビクトリア(VIC)州で義 務付けられているほかは任意の制度となっており、各州でその義務化が検討さ れてきたが、今回の会議で次のように、全州で義務化する目標期日と一部牛群 管理も認めることで合意した。 ・牛に関しては2004年7月1日から、羊に関しては2005年7月1日からの義務 化を目標とする。 ・生まれた牧場から直接、と場に出荷される牛や生体で輸出される牛の個体識 別は、群を単位とする。 ○干ばつと気象状況と予測 気象庁から最新の気象予測として、3、4カ月先には平年に近い気候に戻る ものの、通常の降雨量は保証されないと報告された。また、干ばつが緩和した 後、行政や関連産業、生産者などで連邦政府や州政府の干ばつ対策の効果につ いて再調査することが同意された。 ○農業貿易問題 豪州地域経済の成長にとって、世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンドや 米国、タイとの自由貿易協定(FTA)交渉の下での農業交渉の重要性が認識 され、これらの交渉によって、農産物の新しい市場への参入機会を生み出す必 要があることが指摘された。反面、他国からは、豪州市場への新規参入機会を 得るために豪州の検疫制度への圧力が予想されるが、現状の科学的根拠を持っ た検疫制度を維持することが改めて強調された。 ○GMカノーラ 商業用の遺伝子組み換え(GM)カノーラについて、連邦政府は認定する方 向で手続きを進めているが、実際の栽培許可の権限は州政府にある。GMカノ ーラ栽培許可地区の法制化については、ほとんどの州で検討中であるが、本会 議では、その実施のための準備を支援することで合意した。また、各州政府は 連邦政府に対して、EUやアジアなどでのGMカノーラの市場動向や見通しな どについての報告を要求した。 【シドニー駐在員 井上 敦司 4月23日発】
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