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主要乳業5社により設立 ニュージーランド(NZ)の主要な乳業会社は7月18日、新たな乳業団体として デイリー・カンパニーズ・アソシエーション・オブ・ニュージーランド(Dairy Companies Association of New Zealand:DCANZ)を設立した。DCANZ には、内外の重要な政策や貿易の問題に関する業界内の利害調整や総論の形成など、 フォンテラの母体の1つとなったニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB) によって部分的に担われていた役割が期待されている。 設立に参加したのは、フォンテラ、タトゥア、ウェストランド、メインランド、 ニュージーランド・デイリー・フーズ(NZDF)の5社である。このうち前3者 は、いずれも酪農協系の乳業会社で、メインランドはフォンテラ傘下の国内向け乳 製品製造販売会社である。NZDFは、フォンテラの母体の1つとなったニュージ ーランド・デイリー・グループの国内向け乳製品製造販売会社を、生乳の多角的な 販売を保証する観点から、フォンテラ設立に当たって独立させたものである。この 5社が設立に参加したことから、実質的にはNZの乳業界を網羅した団体と見るこ とができる。 フォンテラが全面的にバックアップ DCANZは、乳業会社の連合体であることから、NZの酪農乳業産業の製造・ 販売部門を代表する団体、という位置付けになる。 乳製品の製造や貿易、販売活動に影響を与える問題をはじめ、乳製品に関する公 益的な施策などについても検討し、政府等へ提言していくものとみられる。従って 、世界貿易機関(WTO)のドーハ・ラウンドの農業交渉のような内外の酪農乳業 政策に関するものが太宗を占めるが、環境管理や動物福祉の実践のような農場現場 のものも対象となる。なお、運営財源は、会員の拠出による。 DCANZの初代の会長に選ばれたフォンテラのラットレイ取締役は、「新団体 の立ち上げに当たって、フォンテラは事務局要員を提供し、DCANZの政策の検 討については同社の担当部署が協力する」と語っており、会員の中の最大手である フォンテラが全面的にバックアップする姿勢を示している。 参加企業は一様に期待 フォンテラのハイデン会長は、「フォンテラは巨大酪農協同組合乳業会社である が、かつてのNZDBのように貿易やその他の問題に関して直接的に産業を代表す ることはできない」ことから、「DCANZに乳業会社間の効果的な連携を確実に することを求める」と語った。 ウェストランドのリチャードソン最高経営責任者(CEO)は、今後、他の零細 な乳業会社も参加することに期待し、「すべての意見が新たな組織で代表されるよ うな広がりのあるメンバーシップを熱望する」としている。 タトゥアのフランプトン会長は、政策問題に対して声を1つに集約する場が再現 されたことを喜び、「DCANZは、NZの乳業界に最善の利益をもたらすだろう」 と歓迎の意を表している。 NZDFのマックラーCEOは、「現在の業界構造のギャップを埋める」と評価 し、「DCANZの主要な目的は、内外においてその会員である乳業会社の集合的 な利益を統合し、代弁することである」としている。 フォンテラ設立後のNZ乳業界は、「フォンテラ=NZ」という図式で見られて いた。新団体の運営についてもフォンテラ主導で進められる可能性が高いとみられ るものの、一国を代表する乳業団体が設立されたことで、1企業の論理だけではな く、多方面からの意見が反映する場としての素地ができあがったと言えよう。 【シドニー駐在員 粂川 俊一 8月6日発】
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