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組織再編によりシェア回復を目指すDFPO(タイ)


民営化により組織再編を進めるDFPO
  タイ酪農振興公社(DFPO)は、2002年10月〜2003年4月の7カ月で、96年以
来初めて138万バーツ(400万円:1バーツ=2.9円)の利益を計上した。同社はタ
イ国内で、レッド・カウやタイ・デンマーク(デニッシュ)などのブランド名
でパスチャライズ牛乳や UHT牛乳を供給し、タイ政府が運営する国営企業とし
て国産生乳の買い入れ等を通じ国内酪農産業の振興を図ってきた。しかし、負
債が累積し、また、取扱業者とのトラブルなどが原因でここ数年は UHT牛乳の
販売の市場占有率が6〜7%まで縮小していたため、近年は組織再編を進めて
いた。

  DFPOは今年の売り上げを20億バーツ(58億円)とし、来年の成長率の目標を30
%ととするとしており、これを達成するために以下の方針で事業拡大を図ると
している。

@ 縮小していたUHT牛乳の販売シェアを回復する。

A 今後の市場拡大が期待される飲用および食用両タイプのヨーグルト製品の
  拡充を図る。

B 従来どおり学校給食用にパスチャライズ牛乳を供給する。

  また、従来手薄であった南部の9県で新たに卸売業者と契約することで全国
52県をカバーする販売網を構築し、従来の学乳供給に加え一般向け販売にも力
を入れ、24〜25%の市場占有率を目指すとしている。


UHT牛乳市場をめぐる動向

  タイの乳製品市場の規模は全体で380〜400億バーツ(1,102〜1,160億円)で
あり、UHT牛乳市場はその25%、100億バーツ(290億円)を占め、毎年4〜5
%の割合で拡大していると言われている。

  現在、この市場では外資系のフォアモスト・フリーズランド(タイ)社が最
大であり、販売額で全体の30%を占めると言われている。これに国内企業のノ
ン・ポ社、DFPOが続く。

  かつて販売額における市場占有率が20%近くに達していた外資系のタイ・デ
イリー・インダストリー社は経済危機の後、市場占有率は4〜5%まで後退し
ている。加糖練乳の市場占有率の高い同社としては、UHT牛乳市場は練乳ほど
の利益は見込めないものの今後の市場拡大が期待できるとして、ビタミンやカ
ルシウムを強化した新製品の開発やキャラクター商品を使った販促活動により
巻き返しを図りたいとしている。

  バンコク東部ラチャブリ県にその本拠を置くノン・ポ社はUHT牛乳分野では
販促活動などにより市場占有率の拡大を目指すと共に、「100%フレッシュ・
ミルク」の銘柄承認を得ることで差別化を図り、同時に北部地方への販路を拡
大したいとしている。

  CP明治社は他に競合相手のない緑茶フレーバー添加商品でUHT牛乳市場で独
自の位置を占めている。


◎ 余乳対策で乳業各社合意

  7月23日に開かれた国内乳業各社の会合により、近年同国で問題となってい
た余乳問題に関する各社の合意が得られた。それによると、大手乳業メーカー
11社はそれぞれ国産生乳買い入れ枠を設け、1リットル当たり2.5バーツ(7.3
円)で買い入れ、中小乳業59社に対し同額で販売することとされた。買い取り
生乳総量は1日当たり2,110トンで、9月1日以降実施されることとされた。

 
【シンガポール駐在員 木田秀一郎 8月20日発】 

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