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輸出向け牛飼養農場は個体登録が必須 アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)は、輸出向け肉牛を個体ごとに 管理するための決議 第15/2003号(2003年2月5日付け)を2月12日の官報で告示 した(以下に記述される「決議」はすべてSENASAのもの)。同決議では、決議 第496/2001号および決議 2/2003号により規定されている「輸出向け牛飼育農場登録 制度」に登録しているすべての農場に対して、「『輸出向けと畜用牛の個体識別シス テム』 が強制的に適用される」と第1条で規定された。 将来に向けた牛肉輸出促進も視野に決議 アルゼンチンでは、決議第178/2001号および決議115/2002号等に基づき、群単位 (ロット)で牛肉の追跡調査が可能となるシステムを採用して、EU向けに輸出が可 能となっている。しかし、今回個体識別制度を導入する理由については、@より確実 なトレーサビリティー(追跡可能性)システムにより輸出市場向け家畜の身元証明を 強化し、市場の要求に対応する必要があること、AEUと同様の輸入条件を求める市 場に対して、将来的に輸出機会等を増やす上で必要になることを挙げている。 具体的な手法としては、重複しないコード番号が記された耳標が左耳に装着される ことになるが、マイクロチップの使用などは規定されておらず、「永続的に判読が可 能なもの」とだけ規定されている。耳標の装着対象牛は以下のとおりである。本決議 が有効となる日(告示から90日)から180日以降、すべての輸出向け牛に装着される ことになる。 @ 輸出向け牛飼育農場登録制度に登録されている農場に導入されるすべての牛で、本 決議が定める耳標によってすでに識別されていない牛。 A 本決議が有効となる日以降に誕生した離乳後の牛。 B 本決議が有効となる日から180日の間に識別されず、かつ出荷されずに飼養されて 農場に残っている牛。 なお、アルゼンチンでは家畜を輸送するためにはSENASAが発行する家畜移動 許可書(DTA)やSENASAに登録された獣医師が発行する衛生証明書が必要と なるが、今回の決議でそれらの証明書に個体識別番号を記入することになった。この 措置によりと畜場に搬入された頭数が、DTAや衛生証明書に記載された頭数と異な る場合、輸出用のロットとして受け入れが不可能となる。
今後の生産者団体の動向に注目 生産者団体等は本決議が制定される以前、「トレーサビリティーシステムは、多く の経費がかかり、この経費を誰が負担するのか問題である。また、牛海綿状脳症(B SE)発生リスクがなく、放牧による群飼養が主なアルゼンチンの畜産事情には馴染 まない」などと反対していたが、今回の制度に対し何らコメントは発表されておらず 、決議が有効となるまでに生産者団体がどのような行動を起こすのか注目される。
【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 2月19発】
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