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NCBA、年次総会を開催 全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、約3万3千の個人と、45の各州 牛肉協会および40の関連団体(これらの会員は約23万戸の肉牛生産者)を直接 の会員とする、全米最大の肉牛生産者団体であり、処理・加工分野におけるア メリカ食肉協会(AMI)とともに、牛肉関連の政策決定に強い政治力を発揮 している。 そのNCBAが、1月29日から4日間にわたってテネシー州ナッシュビルで 恒例の年次総会を開催し、今後1年間、組織として優先的に取り組むべき政策 課題を決定した。これについて、アイダホ州の肉牛生産者であり、このたびN CBAの新会長に就任したエリック・デイビス氏は、首都ワシントンDCを舞 台に、優先課題の全項目の実現に向けた取り組みを今年も積極的に行っていく との決意を表明した。 以下は、その主要項目のポイントである。 災害対策 災害によって悪影響を受けた畜産農家に対する支援予算の確保に向けた積極 的な働きかけを引き続き行っていくとともに、助成金が直接的な被災農家に行 き渡るよう監視を続ける。 バイオセキュリティ @農業・食品産業に影響を及ぼすテロ行為に関与する者に対する罰則の強化、 Aこのような脅威に対する効果的な監視と対応を行うための地方・州・連邦政 府の連携強化、B農家の生活や生産を脅かすような虚偽や中傷などからの農家 の保護、を図るための取り組みを支援していく。 家畜衛生 NCBAの会員自身も海外からの家畜疾病の侵入防止に努めるとともに、ヨ ーネ病の防圧・調査プログラム予算の確保、野生動物がもたらす疾病や病害虫 の危険から牛群を保護するための米農務省(USDA)や大学などの研究者に よる監視・調査の促進などを図っていく。 原産国表示制度 2002年農業法に規定されている義務的な原産国表示制度については、追跡、 監査、検証および順守のためのコスト負担といった悪影響への懸念が強くなっ ていることから、その実施に当たっては、@連邦議会に対する影響調査のため の公聴会開催の要請、AUSDAに対する現場の声を聞くための公聴会開催の 要請、B生産者に対する本制度に関する情報提供などを行っていく。 税制 税制上の最優先課題である相続税の恒久的廃止に向けた取り組みを引き続き 行うとともに、環境保全目的のために地役権を提供する者に対して税制の優遇 措置を与えるための立法措置を支援していく(ただし、環境保全のための地役 権の設定に関し、地域社会に経済的な損害をもたらすような措置が導入される ことには反対する)。 牛肉の安全性 牛肉業界にとって、腸管出血性大腸菌O157汚染の低減が最優先課題であるた め、業界全体の各分野や政府とも連携して、その低減に取り組むとともに、業 界全体を通じた必要な規制措置についても検討していく。また、業界やUSD Aとも協力して、消費者に対する牛肉製品の安全性に関する知識普及(資料配 布)のための予算確保に取り組んでいく。 国際貿易 豪州との2国間の自由貿易協定(FTA)により、適切な保護的措置なしに 現行の豪州産輸入牛肉に対する関税割当が撤廃された場合、米国の肉牛生産者 に悪影響が及ぶことから、目下の世界貿易機関(WTO)交渉が終結する前に 結ばれる米豪FTAには、いかなるものであっても反対していく。
【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 2月19日発】
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