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第1回南米南部農牧審議会開催


メルコスル等の農業担当大臣が集まる

 ブラジル農務省によれば、5月30日および31日にメルコスル(南米南部共同市場)
に加盟または準加盟している6カ国の農業担当大臣がブラジルの首都ブラジリアに
集まり、第1回南米南部農牧審議会(仮称)(CAS)が開催された。

  各国の主な出席者は以下の通り。

(加盟国)

  アルゼンチン:カンポス農牧水産食糧庁長官
  ウルグアイ:ゴンサレス農牧水産大臣
  パラグアイ:バウンガルテン農牧大臣
  ブラジル:ロドリゲス農務大臣

(準加盟国)
 
  チリ:カンポス農業大臣
  ボリビア:ニエメ農業・農村開発副大臣

 2002年7月にメルコスル等の農業担当大臣が集まった際にウルグアイのゴンザレ
ス大臣がこの審議会について初めて提唱し、その後本年2月にブラジルのロドリゲ
ス大臣とゴンザレス大臣が会談した際に、「メルコスルとチリ・ボリビアの6カ国
の農相等で審議会を設置し、WTO、FTAA(米州自由貿易地域)、対EUなど
の国際交渉に向けて、さらに力を合わせる必要がある。3月から新たな機関を設置
するため、他のメルコスル諸国およびチリ・ボリビアと協議していきたい」とのコ
メントが発表された。その後、3月10日、ブラジルとアルゼンチンの間で審議会設
置に係る協定が締結されたのを皮切りに関係各国が協定を締結し、今回開催の運び
となった。

  ちなみに、委員長には審議会の設立を提唱したウルグアイのゴンザレス大臣が就
任し、事務局は委員長国の米州農業協力機関(IICA)事務所が担当することに
なった。今後は、少なくとも年1回以上開催することになる。



審議会の目的は国際交渉力の強化 

  会議後発表された閣僚宣言によれば、CASの目的は、メルコスル等6カ国の地
域内貿易を簡易化し、農業および食料輸出における国際的な立場を強化することで
ある。アルゼンチン農牧水産食糧庁によれば、この目的を達成するため、以下のこ
とが今後の主なテーマになるとされている。

 1 食料によってもたらされるものも含め、病害虫の管理・予防・撲滅のため、各
    国の動植物衛生状況を把握し、地域内の衛生基準の同一化を図るための調整を
    実施 
    
 2 牛海綿状脳症の清浄地域ステータスの維持および口蹄疫の撲滅期間短縮を目的
    とした家畜衛生に関する戦略的優先事項の設定
    
 3 国際獣疫事務局(OIE)やCODEXなどの国際基準を協議する際に、メル
    コスル等6カ国の認識をなるべく共通なものに調整 
    
 4 メルコスルに既に設置されていた@植物衛生(ボリビアは今回新たに加入)や 
    A技術協力のための委員会に加え、新たにB常設獣医委員会(CVP)を設置 
    し、三分野における各国の連携を強化
 
 5 新たな国際間の課題や要望に対応するためには優れた人材を育成する必要があ
    り、そのため各国の農牧省は農業大学を人的または資金的に支援
    
  

WTOやFTAAについても言及

  また、ロドリゲス大臣は会議終了後の記者会見において、WTO農業交渉につい
て「ドーハ閣僚宣言に記された期限にモダリティが確立されなかったことに対し、
強い懸念を抱くとともに、交渉がわれわれにとって良い結果となるよう今後貢献し
ていきたい」とし、またFTAAに関しては「米国は微妙なテーマ(注:農業補助
金などのこと)をWTO交渉で話し合おうとしているが、メルコスル等はこれらの
テーマをFTAA交渉で議論することを望んでいる」と発言している。

(注)米州農業協力機関(IICA):農業の発展と農村の生活改善を促すため、加
    盟各国間の協力を奨励し、支援することを目標としており、本部はコスタリカ
    に設置されている。


 

【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 6月11日発】 


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