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家きんペスト、ドイツにも拡大
高病原性鳥インフルエンザ(HPAI:家きんペスト)がオランダやベルギ ーで猛威を振う中、ドイツ連法政府衛生当局は5月9日、同国でも鳥インフル エンザが発生した疑いのあることをEU委員会や国際獣疫事務局(OIE)に 対し通報した。 鳥インフルエンザの発生が疑われた農場は、ドイツ中西部のノルトライン・ ヴェストファーレン州のオランダ国境に近いシュヴァルムタール(Schwalmtal )に所在し、飼養している約3万羽の肉用鶏の一部に鳥インフルエンザの臨床 症状を呈するものが認められた。 HPAIに対する防疫措置として、ノルトライン・ヴェストファーレン州で は、@州内の生きた家きん、種卵および家きんのふん等の移動禁止、A発生農 場から半径約10キロメートルの監視区域の設定、B発生農場から半径約3キロ メートル以内に飼養されるすべての家きんの殺処分などが直ちに実施された。
発生確定前にEUレベルでの措置を決定
こうした状況を受けて、EU委員会は12日、ドイツに対するEUレベルでの 防疫措置を定めた委員会決定(2003/333/EC)を採択した。これにより、生き た家きん、種卵および加熱処理を施していない家きんのふん等に関して、ノル トライン・ヴェストファーレン州からドイツの他地域、EU加盟国および域外 国への輸出が禁止された。 翌13日には、確定診断により高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)であ ることが確認された。今後の措置については、直近の発生状況を勘案し、EU のフードチェーン・家畜衛生常設委員会で再検討されることになる。 オランダ、ベルギーでは沈静化の兆し HPAIは、主に家きん類が罹患する致死性の高い伝染病で、「家きんペ スト」とも呼ばれる。今年2月28日、オランダの中東部で発生が確認された 後、オランダ政府による懸命な防疫対策にもかかわらず、同国の南東地域だ けでなく隣接するベルギー北部にも感染が広がった。 5月15日時点で、オランダの発生数は 252農場に上り、6農場で感染が疑 われており、予防措置も含め、2,800万羽の家きんが HPAIの防疫対策と して殺処分された。ベルギーでは8農場で発生し、300万羽が殺処分されてい る。 ただし、オランダでは4月29日以降、ベルギーで4月28日以降、新たな発 生は確認されておらず、HPAIについて沈静化の兆しが見えていた矢先だ けに、ドイツでのHPAIの発生は養鶏関係者に衝撃を与えている。 ベルギーでは国内にドイツの発生農場と飼料運搬車を通じて間接的に接触 する養鶏農場があることが判明したため、予防措置として10農場での殺処分 を決定した。
◎ EU委、電子個体識別計画の結果を公開 EU委員会は5月5日、ローマ近郊の農場において、電子個体識別計画( IDEA)の結果を公開した。IDEAは、耳標などの従来の家畜の個体識 別方法に代わるものとして、低周波を発生するマイクロチップを内蔵した器 具を活用した新たな個体識別方法を開発・評価するための実験計画である。 1998年3月〜2001年12月にかけて実施され、フランス、ドイツなど6加盟国 で約100万頭の家畜が参加している。 詳細は、http://idea.jrc.it/を参照。
【ブラッセル駐在員 山田 理 5月14日発】
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