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連邦政府が次期予算案等を発表、農業は干ばつ対策が主(豪州)


所得税収入増などにより、6年連続黒字予算案

  豪州連邦政府は5月13日、2003/04年度(7月〜6月)の予算案を発表した。国
内総生産(GDP)成長率3.25%という経済成長見通しの下、歳入は所得税の収
入増加などから前年度比10.4%増の1,783億豪ドル(13兆3,725億円;1豪ドル=
75円)、一方歳出は国防や教育予算の増加から同9.5%増の1,780億豪ドル(13兆
3,500億円)で、6年連続の黒字予算案となった。


干ばつ対策には7億4千万豪ドルを計上見込み
  
 連邦政府は、連邦予算について単年度と併せて、現在の経済状況から長期的な
予算案を策定し発表している。

  農業関連予算については、検疫強化対策などの継続事業実施分のほか、新規予
算項目として、干ばつ対策などを重点項目として今後の計上を見込んでいる。

 主な新規農業関連項目の概要は以下の通り。

○干ばつ対策費;干ばつの影響を受けた例外的環境(EC)地域として認定され
  た地域に4年間で7億4,000万豪ドル(555億円)
 EC地域の農家や中小企業事業者に対し、支援金の給付、カウンセリングサー
  ビスの実施、雇用支援、優遇税制処置を行う。なお、気象予測の改善のため、
  レーダー施設の更新費やインターネットでの気象情報提供強化費として、9,000
  万豪ドル(68億円)が2003/04年度で計上された。

○農地の塩害や水質保全に関する国土保全費;3年間で1億2,000万豪ドル
 (90億円)

○山火事や洪水対策費;5年間で7,000万豪ドル(52億5,000万円)

○牛結核清浄維持のための新計画「TFAP2」実施経費;4年間で2億3,000
 万豪ドル(172億5,000万円)
   豪州は牛結核清浄国として国際的に認められている。今後もこれを維持する
 ため、新計画は、@各州および準州の動物衛生機関などを通じての疾病監視、
 確認診断の継続実施、A豪州検疫検査局(AQIS)による輸出向けまたは国
 内向け食肉処理場検査の実施、B動物衛生機関などにより発見された場合の疾
 病の根絶、C疾病が発生した場合の補償金支払いなど経済的支援の実施などと
 なっている。

○低所得農業者対策の期限を1年延長(2004年6月30日まで期限延長)費用
 ;2,400万豪ドル(18億円)
   この対策は、97年9月に発表された農村地域対策の一環であり、農家の生産
 性を改善し経営状況の改善を図ろうとする一方、農業を継続できない者に対し
 ては、転業支援を行うものである。具体的には、@最大12カ月間の収入の一部
 補助、A専門家のアドバイスの実施、B他の職業への転業支援および職業訓練
 支援の実施などを行うこととしている。

○運賃コストの不利を解消するために設けられたタスマニア州と本土間の
 小麦などの運賃補助の継続費用;2003/04年度で百万豪ドル(7億5,000万
 円)

  以上のほか、水産振興費や害虫駆除対策費、不法漁獲取締強化費にも予算が配
分されている。


  
干ばつ対策は不十分との声も

  干ばつ予算については、業界関係者から、「干ばつが終了したと考えるのは早
計であり、依然多くの農民が干ばつで苦しんでおり、当初公約していた9億豪ド
ル(675億円)から7億4,000万豪ドルに削減されたのは賛成できない」との声も
あるが、トラス農相はこの予算規模は、現在のEC認定地域の支援対策に係る申
込者数に基づいたものであると反論している。
 
 


【シドニー駐在員 井上 敦司 5月21日発】 
 
 
 

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