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利益の多いヒルトン枠配分をパッカーは熱望 アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)は11月6日付け決議第465/2003号により、 2003年7月1日〜2004年6月30日までのヒルトン枠の配分を食肉パッカーに行った。す でに対象期間当初から4カ月が経過している。 アルゼンチンはEUから、一定基準を満たす高級生鮮牛肉に関する関税割当制度 (通称ヒルトン枠)により、当年7月1日〜翌年6月30日の1年間に28,000トンを 割り当てられており、パッカーへの配分はSAGPyAが行うことになっている。 ヒルトン枠は、輸出量で見ると加工肉等も含んだ牛肉全輸出量の10%前後である が、輸出単価が高いため全輸出額に占める割合は30%前後を占めることからパッカ ーは利幅の大きいヒルトン枠を得ることに躍起になっている。 ヒルトン枠配分に裁判所命令が絡む SAGPyAは配分に当たり、第1に配分方法を定めた現行の決議第914/2001号を順守 したと説明している。配分は @過去の輸出実績 Aアルゼンチン農畜産品衛生事業 団(SENASA)により新たに認可されたパッカーへの配分−を重視し、行われている (詳細は本紙通巻第514号を参照)。 第二に考慮した点は、裁判所に訴訟を起こしたパッカーに対し、ヒルトン枠の配 分を命じた連邦または商業関連の裁判所の予備的差し止め命令等を順守したことで ある。これにより本年度28,000トンの枠のうち14,325トンが司法措置により配分さ れた。 配分の遅れは司法措置に従ったためと説明 SAGPyAは、「最近数カ月間に下された予備的差し止め命令に従うとともに、現在 の訴訟本数を減らす目的で裁判案件等を、当庁の市場担当の技術チームおよび法律 顧問グループが経済省の法務担当者と共同で検討してきた。数々の司法命令等に対 する詳細な分析・処理に多くの時間を要したため、ヒルトン枠配分に至るまでに不 可避の遅延が発生した。現在、SAGPyAに予備的差し止め命令を求めたパッカーは27 社で、合計14,325トンとなる。ちなみに昨年の司法措置に基づく配分は5,000トン であった」とコメントし、配分決定の遅れは、司法措置等に従ったためだとしてい る。 このヒルトン枠をめぐる司法問題は、@倒産したパッカーの債権者等が経営再建 を行う場合などに、裁判所が債権処理を円滑に行う目的で枠を配分するよう命じた こと ASENASAが本年6月12日にEU向け輸出パッカー等の施設認定リストを公表 した際に、認定を受けられなかったパッカーが告訴したこと−などに起因している (本紙通巻第584号を参照)。 SAGPyA長官、配分方法は来年度改正と表明 また、SENASAにより最近実施された施設の再検査の結果、6月12日時点に比べ追 加的にパッカー施設が認可されたが、これらはまだEUから正式に許可が下りてい ないため、許可が下りるまでSAGPyAが枠を保留することを決議第465/2003号で併せ て決定した。しかし、決議第914/2001号には「EUへの輸出が許可されているパッ カーを対象に配分する」と規定されているため、保留分をめぐり新たな問題も生じ る可能性がある。 なお、SAGPyA長官は、ヒルトン枠の配分方法に係る現行決議第914/2001号を来年 度は改正する意向を再三にわたり表明している。 【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 11月19日発】
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