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2003年の農畜産業関連部門の成長率を+6.24%と予測 9月下旬、ブラジル全国農業連盟(CNA)とサンパウロ大学先端的応用経済 研究センター(CEPEA-USP)が合同で、2003年上半期の農畜産業および関連産業 (以下、「農畜産業関連部門」という。)のGDPについて分析し、2003年の農 畜産業関連部門は大きく成長するとした報告書を公表した。概要を以下に報告す る。 農畜産業関連部門の上半期のGDPは、前年同期比 +6.24%であり、農業関連 部門だけでは前年同期比+7.93%、畜産業関連部門は+2.24%となった。2001年 および2002年の上半期の成長率は、それぞれ農畜産業関連部門+0.17%、+2.73 %、農業関連部門−0.59%、+3.55%、畜産業関連部門+1.85%、+0.89%とな っていることから、2003年の農畜産業関連部門は過去2年に比べ大きく成長する と予測し、GDPは4,507億8000万レアル(約17兆1,296億円:1レアル=38円) に達成するものと推定している。これは2002年の4,243億2,000万レアル(約16兆 1,242億円)より+6.24%、約265億レアル(約1兆55億円)増加する予測である。 2003年上半期の農業の成長率は+14.55% 農業関連部門のうち一次産業の上半期GDPは前年同期比+14.55%となってお り、2001年−0.59%、2002年+8.18%と2002年以降大きく成長していることが うかがえ、2003年のGDPは、2002年の727億2,000万レアル(約2兆7,634億円 )から832億9,000万レアル(約3兆1,650億円)になるとしている。 畜産業関連部門のうち一次産業の上半期GDPは+2.37%となっており、2001 年および2002年上半期の前年比は、それぞれ +2.07%、+0.21%で、畜産業が 回復傾向にあることがわかる。これらから、2003年のGDPは、2002年の530億 7,000万レアル(約2兆167億円)から543億3,000万レアル(約2兆645億円)に なるものと予想される。 このことから農畜産業部門の一次産業に従事する生産者の所得は増加すると見 込まれる。 生産資材の価格が大きく上昇 また、農畜産業関連部門のうち生産資材分野が +10.05%と最も高い成長率を 記録した。これは価格上昇によるところが大きく、特に輸入生産資材のレアル価 格は前年後半のドル高の影響で高くなり、その後ドル安になっても価格が下がっ ていないことが大きな要因であるとしている。 農業関連部門の生産資材分野は、前年同期比+12.25%と大きな成長率を示し たが、一次産業の+14.55%を超えるものではなかった。この差は、農業生産者 の所得増に貢献していると推測される。 畜産業関連部門の生産資材分野も顕著な成長を見せ、上半期は+6.44%となり 、一次産業の+2.37%を上回った。この農業関連部門とは異なった状況について 報告書では分析がないため、CEPEAに尋ねたところ、ある研究者はさまざまな要 素をもとに計算しており一概には言えないが、@トウモロコシなどの飼料価格が 4月以前は高かったため、生産コストが上昇し Aそのコスト上昇分を消費者価 格に転嫁できず、生体牛価格が抑制され、畜産農家の利益があまり増えなかった −とも考えられると話してくれた。 政府には畜産振興策を検討するように要望 最後に報告書は、「これらの数字は、農村地帯における農業等に関係する産業 の大きな成長と90年代における生産技術の導入の成果が表れてきたことを示すも ので、現時点では農村地帯の経済は楽観的な予想を立てることができる。しかし、 畜産業関連部門における成長は農業関連部門に比べ小さいことから、畜産を支援 する何らかの公共政策が求められ、それが強いては生産者全体の所得向上、関連 産業のさらなる育成に貢献することになるであろう」と提言している。 2003年上半期に大きな成長を見せているブラジルの農畜産業に今後も注目して いきたい。 【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 10月8日発】
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