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第118回 国際農牧工業展が開催(アルゼンチン)


  
ヘレフォード種の競売が好調 

  7月22日〜8月3日、アルゼンチン国際農牧工業展(以下「農牧展」という。)が首都ブエノスアイレス市で開
催された。アルゼンチン農牧協会(SRA)が1875年から開催し今年で118回目となる。例年、家畜の品評会および
競売、農作業用機械の展示、セミナー、地域特産品の販売などが行われ、開会期間中に95万人以上が訪れた。

  ヘレフォード協会によれば、当品種の競売において繁殖雌牛の競売価格が昨年より高く、また種雄牛が10万ペソ
(約380万円、1ペソ=38円)で落札されるなど全体平均として昨年より40%高となった。



輸出税の廃止時期は明言せず

  公式開会式は開会期間中に開催され、今年は7月31日に行われた。過去においては大統領が出席する一大イベン
トであったが、経済危機の2002年から大統領の出席はなく、今年も出欠に関し様々な報道が流れたが結局は欠席し
た。しかし、シオリ副大統領、ラバンニャ経済生産大臣、カンポス農牧水産食糧庁(SAGPyA)長官が出席した。

  カンポス長官の演説に先立ちあいさつに立ったミゲンスSRA会長が、@経済回復は農牧業の輸出に支えられて
いることは明白で、現在課せられている輸出税は輸出競争力の妨げとなるため撤廃すべきであるA農業融資の利率
が高いため利用が難しく、せめて国立銀行の利率は下げるべきであるBSAGPyAは主要産業を担っているのだから省
に格上げされるべきである−などと要望した。これに対し演説に立ったカンポス長官は「以前から明言しているよ
うに、輸出税は一時的なもので徐々に撤廃されていくものである」と回答したがその時期については触れなかった。

 なおカンポス長官の発言概要は以下の通り。

@  アルゼンチンの経済は食品関連産業によって支えられており、特に地方経済に大きく寄与している。

A 輸出振興のため民間セクターと共同して海外市場の開拓に当たってきた。農牧分野は今後も成長でき得る産業
  であるが、そのためには新しい技術の導入が必要で、最近では遺伝子組み換えトウモロコシ(ラウンドアップ
  ・レディー・トウモロコシNK603系統)の栽培・商品化を承認し、また“2005/2015バイオテクノロジー発展
  のための国家戦略計画”を策定中で、さらに種子の品種登録や証明などを実施していたが2000年11月に廃止さ
  れたINASE(国立種子研究所)復活させた。

B 国内外において差異なく農産物の衛生管理および品質をさらに向上させる必要がある。

C 牛肉の輸出はとかくヒルトン枠(EU向け高級牛肉枠)に目を奪われがちだが、生鮮牛肉輸出の更なる拡大が
  重要であり、そのため生産力向上を目的とした“国家畜産計画”を現在策定中である。



南米南部農牧審議会も同時期に開催

  7月29〜30日、メルコスル(南米南部共同市場)の加盟国および準加盟国の農相で構成する南米南部農牧審議会
(CAS)が開催され、翌日の農牧展の開会式には各国農相なども参列した。

  この会議では、2007年までに口蹄疫を撲滅するよう各国が努力することを再確認した他、各国で異なるバイオテ
クノロジーに係る規則を調和させることを目的とした作業グループを作ることが了承され、さらにEUとメルコス
ルにおけるかんきつ類の衛生交渉などに関して協議が行われた。


  



【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成16年8月4日発】 


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