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史上去3番目に多い飼養頭数 豪州フィードロット協会(ALFA)は7月29日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)との共同調査によ る四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査の結果を発表した。これによると、総飼養頭数は2004年6 月末時点で約71万頭と、前回調査(2004年3月末時点)から7%増加した。これは、史上3番目に多い記録 である。 フィードロット飼養頭数を州別に前回の3月末と比較すると、フィードロットが集中するニューサウスウ エールズ(NSW)州やクインズランド(QLD)州で大幅に増加した。前回調査では、放牧に適した気象 状況が続いていたことなどからQLD州の飼養頭数は増加しなかったが、今期は冬季の乾燥気候の影響を受 け増加した。例年、冬季は牧草の育ちが悪いことから、フィードロットの飼養頭数が増加する傾向がある。 ALFAでは、飼養頭数の増加は、上述した季節的要因のほかに、米国のBSE発生による米国産牛肉の 輸入停止措置を引き続き講じている日本と韓国からの強い需要が出荷増の主な要因となっているとしている。 6月の豪州牛肉の対日輸出量は、前年同期比70%増の約4万(船積みベース)となり、2004年の第2四半 期(4月〜6月)では、同37%増の9万9千トンとなった。 第2四半期の穀物肥育牛の出荷頭数は、約50万頭と前年同期より7%減少した。その要因は、国内向けが 大幅に減少したことによる。 米国のBSEの影響で輸出向け大幅増加 フィードロットの収容可能頭数は全体で約92万6千頭と前年同期と比べると1.5%増加するとともに、稼 働率も同じく77%と前年同期に比べ4ポイント上昇した。 仕向け先別に見ると、輸出向け飼養頭数が44万5千頭でフィードロット飼養頭数全体の63%、国内向けが 24万5千頭で同35%と、前年同期と比べると国内向けが16ポイント低下した。昨年の同時点では干ばつの影 響で、国内向け肉牛をフィードロットで飼養する傾向が強かったため、国内向けが輸出向けを初めて上回っ た年でもあった。 輸出先別に見ると、日本向けは前年同期比39%増の約40万トンと大きく上回り、2001年の9月末の約41万 3千頭に次ぐ史上第2位となった。韓国向けも前年同期と比べ58%増の約2万トンとなった。 業界は当面好調を維持 マコノーチ会長によると、素牛の調達コストは高騰しているものの、飼料穀物は前年同期に比べ、非常に 調達しやすくなったと述べている。同氏によると、この第2四半期の穀物価格はかなり安定し、価格も前年 同時期より24%〜51%低い水準で推移している。また、最近のNSW州およびビクトリア州での降雨によっ て冬穀物の収穫に良い結果が期待でき、価格も下がる可能性があるとしている。 同氏は、さらに、上述のように穀物が調達しやすくなったことに加え、豪州産牛肉の主要マーケットで米 国産牛肉の輸入停止措置が続く間は、現在のフィードロット産業の好調な状況が続くと見ている。
【シドニー駐在員 井上 敦司 平成16年8月4日発】
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