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社会全体で口蹄疫撲滅を目指す 11月26日、ロドリゲス農相はブラジル北部のパラ州サンタレン市において、アマゾン中下流域の住 人に対し、全国規模で口蹄疫を撲滅することが重要であることに関心を持たせるための「ブラジル口 蹄疫清浄国化衛生教育パイロットプロジェクト」を実施した。 これは、アマゾン中下流域の15郡を対象に住民を巻き込んだ実験的な試みとなっており、児童から 大学生・教師、協会や組合の役員、住民の代表、軍人、州および連邦警察官などの幅広い社会層を対 象に、衛生教育専門チームが口蹄疫ワクチン接種キャンペーンに参加することの重要性を講演し、ワ クチン接種率の向上を目的として、目標数値は15郡で90%となっている。 第1段階として、パラ州のサンタレン(11月26日)、モンテ・アレグレ(11月27日)、オリシミナ (12月3日)の3郡において、講演会が開催されることになっており、特にサンタレンにおいてロド リゲス農相は小学生が待つ船舶内の「洋上学校」に迎えられ、またパラ州農牧防疫機関(Adepará) も講演を行い、児童および成人向け宣伝材料が配布されるとともに、一般住民の関心を高める民族舞 踊ショーなども盛り込まれた。 ワクチン接種率の向上へ パラ州政府は口蹄疫ワクチン接種率を向上させるため、牛飼養頭数が50頭以下の場合は1本当たり 0.10レアル(約3.8円、1レアル=38円)、50〜500頭の場合は0.50レアル(約19円)、500頭以上の 場合は0.95レアル(約36円)の価格で生産者が購入できるように助成を行っている。サンタレン農村 組合の会長によれば、11月30日までに牛群の95%がワクチン接種を受ける予定とのことである。 ブラジルは2005年12月までの口蹄疫撲滅を目指し、全国を南部、中西部、東部、北部、北東部の5 畜産圏に分け口蹄疫撲滅計画を実施し、現在14州と1連邦区が口蹄疫ワクチン接種清浄地域に承認さ れている(本紙通巻第543号、581号を参照)。 ロシアの食肉輸入停止措置は一部で解除のみ しかし、本年6月にはモンテ・アレグレ郡で(本紙通巻第631号を参照)、また同9月には北部のア マゾナス州カレイロ・ダ・バルゼア郡で(9月13日付け海外駐在員トピックス ※1 を参照)口蹄疫 の発生が確認され、特に後者の発生に際しロシアは、鶏肉も含めブラジル産食肉の輸入を停止(9月 28日発海外駐在員トピックス ※2 を参照)した。11月16日には国内措置上は口蹄疫のワクチンを接 種していない南部のサンタカタリナ州のみからの輸入停止が解除されたところだが、11月22日ブラジ ルを訪問していたロシアのプーチン大統領とルラ大統領が会談した際に、さらなる輸入解禁が期待さ れたが、停止措置は維持されたままとなった。 最近、農相は「我々は口蹄疫と戦争している」とか、「2004年に輸出額が25億ドル(約2,575億円、 1ドル=103円)を超えるであろうブラジル産牛肉の国際市場を維持することは国家安全に係る問題 である。世界最大の食肉輸出国の地位を獲得した今、パラ州やアマゾナス州で起こった局地的な口蹄 疫発生により食肉業界全体が脅かされることもあるため、もうアマチュア的な生産は認められない」 などの発言を行っており、口蹄疫撲滅に向けさらに力を注いでいる。 ◎土地なし農民が襲撃される 11月20日、ブラジル南東部のミナスジェライス州フェリスブルゴ市の土地なし農業労働者運動(M ST)の200名からなるキャンプ地が、15名の襲撃者から乱射や放火をされ、4名が即死、13名が病 院に運ばれ、バラック65戸のうち31戸が破壊された。同日、警察は3人の容疑者を逮捕しているが、 農場主が首謀者との見方がある。 11月24日には植民・農地改革院(INCRA)総裁が、この襲撃事件についてアグリビジネス全体 が関与しているかのような発言を行ったため、ブラジル全国農業連盟などが農村における対立を深め るものとして批判した。 なお逮捕状が出されていた農場主は、30日夜サンパウロ州において逮捕されている。 ※1:http://www.alic.go.jp/livestock/repnews/old/repnews200409.html#2 ※2:http://www.alic.go.jp/livestock/repnews/old/repnews200409.html#5 【ブエノスアイレス駐在員 犬塚明伸 平成16年12月1日発】
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