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前年比5%増の820億ドルを計上
ベネマン農務長官は2月2日、米政府が議会に提出する2005会計年度(2004年10月〜 2005年9月)予算のうち米農務省(USDA)所管分野の予算内容について発表した。 2005年の農業予算は対前年5%増の820億ドル(8兆7,740億円、1ドル=107円)とな っており、米国の食料供給と農業システムの保護、栄養と健康衛生の改善、自然環境の 保護および農業生産者のための経済的機会(ビジネスチャンス)の増進などを柱とした 予算内容となっている。 ベネマン農務長官は、「本予算は、我々の政策指針である「21世紀のための食料と農 業」に沿った内容であり、USDAの戦略目標を支持するものである。」と述べた。また、 2005年の米政府予算全体として、5年以内に財政赤字を半分まで削減することを目標に、 防衛と国土保障分野を除く自由裁量権のある予算経費の伸び率が1%未満とされており 、USDAに自由裁量権のある予算経費は前年比7億2,000千万ドル(770億4,000万円)減 の208億ドル(2兆2,256億円)となっている。主な概要は次のとおり。 国土保障と食料供給の保護 ブッシュ政権の公約である国土安全保障の一環として実施される食料および農業戦略 防衛構想(Food and Agriculture Defense Initiative)に対し、3億81百万ドル( 407億6,700万円)が計上されている。 これは、動植物の疾病における監視とサーベイランスの強化、新たに発生した動物の 疾病に対する調査研究の実施、ワクチン有効性の増進、作物の特定の病原体を追跡する システムの構築、50州全てを統合する連邦診断ネットワーク(Federal-State Diagnostic Network)の拡大およびアイオワ州エイムズにある全国獣医研究所(NVSL)(米国 のアニマルへルスにおける調査研究および診断において最重要施設であり、国内唯一の BSE同定施設となっている)の改修に要する経費となっている。 NVSLに対する予算額は1億78百万ドル(190億460万円)とこの構想の中で最大のもの になっている。新NVSLの完成は2007年を目指しており、総額で4億6千万ドル(492億 2,000万円)を要するとしている。このほか、食品安全局(FSIS)が行う食品安全プロ グラムに対する9億52百万ドル(1,018億6,400万円)などが計上されている。 BSE関連対策 今般のBSE発生を踏まえた対策として、対前年377%増の総額6千万ドル(64億2,000 万円)が計上されている。内訳は、 @農業研究局(ARS)に対する最先端のBSE検査技 術の研究および開発の実施:500万ドル(5億3,500万円)、 A動植物検査局(APHIS) による4万頭のBSEサーベイランス検査の継続実施:17百万ドル(18億1,900万円)、 B全国個体識別システム(National Animal Identification System)の開発促進: 33百万ドル(35億3,100万円)、 C穀物検査・食肉流通部(GIPSA)に対するBSEに関 連した苦情処理(市場における契約や支払いの遅滞に関すること)を迅速に行うこと: 100万ドル(1億700万円)、DFSISに対する特定危険部位(SRM)および先進的食肉回 収システム(AMR)に関する規則の順守状況についての監視と調査の実施:400万ドル (4億800万円)となっている。 国内食料援助、貿易機会の拡大など また、低所得者に対するフードスタンププログラム、女性および幼児のための特別 補足食料プログラム(WIC)、学校給食プログラムなどの国内食糧援助プログラムに 要する経費として479億ドル(5兆1,253億円)、貿易促進と海外市場の開発のための プログラム実施に要する経費として66億ドル(7,062億円)、環境保全対策として39 億ドル(4,173億円)などが計上されている。 ◎ オーストラリアとのFTA交渉妥結 米・豪間のFTA交渉が2月8日妥結した。牛肉では、関税割当数量(TRQ)の枠外税率 を18年間で撤廃すること、TRQの拡大は米国の牛肉生産量の約0.17%、現行輸入量の 1.6%未満とするとし、実施時期は、米国の牛肉輸出量が2003年水準(BSE発生以前) に戻るか協定締結後3年以内のいずれか早い時期となっている。乳製品についてもTRQ の拡大は米国の年間乳製品生産額の約0.17%、現行の輸入金額の約2%未満とすると している。 【ワシントン駐在員 道免 昭仁 平成16年2月11日発】
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