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欧州委員会、2007-2013年の予算の枠組み案を発表


農業予算は7年間で3,010億ユーロ
 欧州委員会は2月10日、2007年から2013年までのEU予算の枠組み案を発表した。
これによると、7年間での総支出額は1兆250億ユーロ(139兆4,048億円:1ユーロ
=136円)に上り、そのうち農業関係予算は全体の約3割に相当する、3,010億ユー
ロ(40兆9,460億円)となっている。
 
 EUでは、支出予算の配分を確実にすることや、中期的な支出および年度予算の決
定をスムーズにすることができるなどの理由から、中期的な予算の枠組みを設定して
いる。このような枠組みの設定は、88年から導入されている。今回の枠組み案は、現
在のアジェンダ2000による予算の枠組み(2000年〜2006年)の期限切れが近くなった
ため、次期の予算の枠組みを決定するためのものとして発表されたものである。今回
の枠組み案の発表を前回の時に比べ約5カ月間早いこの時期に行った理由として、欧
州委員会は、@前回のアジェンダ2000での予算枠組みの合意(99年4月)から適用
(2000年1月1日)までの準備期間を十分取ることができなかったことを踏まえ、早
期の合意を目指していることAEUは本年5月に現在の15カ国体制から25カ国体制と
なり、今まで以上に合意が困難になるとみられること−と説明している。


  

農業支出予算のシェアは、2010年には全体の3割未満へ 
 予算総額は、2007年に1,335億6千万ユーロ(18兆1,642億円)から毎年増加し、
2013年には1,584億5千万ユーロ(21兆5,492億円)となっている。各年とも域内の
国民総所得(GNI)に占める支出の割合は、1.08〜1.15%とEUが定めた独自財源
の上限であるGNI比1.24%を下回るものとなっている。

 農業予算については、アジェンダ2000の合意時に予算全体の46.2%を占めていたが、
2007年には435億ユーロ(5兆9,160億円)と全体の32.6%となっている。さらに、共
通農業政策(CAP)改革の実施に伴い、農業支出は2009年以降減少し、2010年には
その割合は予算総額の3割を下回るものとなっている。

 この予算の枠組みについては、2005年の中ごろの合意を目指し今後議論を重ねていく
こととなっており、まずは、EU拡大後の本年6月に開催される欧州サミットに本件の
提案が行われる見込みである。





◎ 日本向け豚肉補助金を対象外に
 
 欧州委員会は2月13日、本年1月26日に決定した豚肉に対する輸出補助金について、
適用される豚肉の輸出相手先を改正する委員会規則を決定した。これによると、日本向
けの豚枝肉、骨付きカタ、骨付きバラ等については、前回に引き続き除外されている。
この改正の適用は2月16日となっている。

  これは、アジアにおける鳥インフルエンザの発生等の影響から日本向けの輸出につい
ては豚肉の需要が増大すると見込まれることから、輸出補助金の必要がないと判断され
たためであると伝えられている。




【ブリュッセル 山ア 良人 平成16年2月18日発】

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