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FAO、BSE対策の厳格な実施を主張
国連食料農業機関(FAO)は1月12日、2003年12月の米国内における初の牛 海綿状脳症(BSE)発生を受け、各国におけるBSE対策の強化を求める声明 を発表した。 FAOは、「消費者を安心させるための必要最低限の対策について、多くの国 がいまだに混乱している。多くの国で、BSE対策の実施がいまだに不十分な状 況である」とし、各国政府および業界団体に対し、以下の対策の厳格な実施を求 めた。 ・家畜、少なくとも反すう動物への肉骨粉給与の禁止 ・飼料製造過程における交さ汚染の防止 ・30カ月齢以上の牛からの特定危険部位(SRM)の除去および適切な処分 ・BSEやスクレイピーの病原体を十分に不活化する条件(3気圧、133度20分) の下でのレンダリング処理の実行 ・牛の飼養頭数に応じた有効なサーベイランスの実施および家畜の生産、加工、 流通を通じた確実な個体の確認とトレーサビリティの確保 ・せき柱などから機械的に分離された食肉(Mechanically removed meat)の利 用の禁止 FAOは、これらの対策の中で、特に“肉骨粉給与の禁止”、“SRMの除去” の実施により、フードチェーンにおけるBSEの危険性は極めて低くなるとして いる。 BSE検査の重要性も主張
また、FAOは、「もし、国内でBSEが確認されているにもかかわらず、厳 格な対策が講じられていないのであれば、広範なBSE検査が必要である。30カ 月齢以上の食用にと畜される牛全頭についてBSE検査を実施することは、消費 者の信頼を高めることになる。BSE検査に要する費用は、1頭当たり約50米ド ル(約5,300円:1米ドル=106円)であり、人の健康そして食肉市場での損失と 比べると、BSE検査の経済的効果はとても高いものである」と述べている。 EUでは、30カ月齢以上の健康な牛全頭についてと畜時にBSE検査を義務付 けている(24カ月齢以上の牛については、獣医師の判断により緊急と畜された場 合およびと畜場で食用に不適と判断された場合も対象)。なお、フランス、ドイ ツ、スペイン、イタリアにあっては、BSE検査の対象牛を国内法において、24 カ月齢以上の健康な牛全頭としている。 フランスでのBSE発生頭数は激減 こうした中、フランス農業漁業省は1月14日、2003年の同国でのBSE検査の 実施状況およびBSE発生状況をした。これによると、2003年におけるBSE検 査頭数は、約318万頭に上り、BSE患畜頭数は前年比43.7%減の137頭であった (2002年は239頭、2001年は274頭)。 ◎ COPA/COGECA、豚肉価格の安定対策を要求 欧州農業者のロビー団体である欧州農業組織委員会/欧州農業協同組合委員会 (COPA/COGECA)は1月15日、欧州委員会に対し、現在の豚肉価格低 迷を受け、さらなる価格回復のための対策を要求した。欧州委員会は2003年12月 19日、最近の豚肉の市場価格が下落しているため、昨年に引き続き豚肉の民間在 庫に対する補助(APS)の発動を決めた。しかし、COPA/COGECAは、 APSだけでは対策が不十分であるとし、豚肉の輸出補助金の導入を要求した。 この輸出補助金の導入については、1月23日に開催される欧州委員会の豚肉管理 委員会で検討される見込みである。なお、欧州委員会のフィシュラー委員(農業 ・農村開発・漁業担当)も輸出補助金について、前向きである旨の発言をしたと 伝えられている。 【ブリュッセル駐在員 山ア 良人 平成16年1月21日発】
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