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欧州委、トルコのEU加盟交渉開始を勧告


トルコのEU加盟交渉開始を勧告

  欧州委員会は10月6日、EU加盟交渉開始のためのトルコ国内の改革の進捗状況に関する定期的な報
告書を発表した。また、同委員会はこの報告書に基づき、トルコのEU加盟交渉を開始することを欧州
理事会および欧州議会に対し勧告した。なお、場合によっては交渉の一時停止もあり得るとの条件を付
けている。
 
  欧州理事会は、2002年12月に開催した会合(コペンハーゲン・サミット)において、トルコのEU加
盟交渉については、「2004年12月に開催する欧州理事会において、欧州委員会の報告書と勧告に基づき
コペンハーゲン政治的基準を満たしたと決定した場合はトルコとのEU加盟交渉を開始する」と宣言し
ていた。
 
 今回公表された報告書および勧告での、トルコの農業分野に関する状況は次の通り。



トルコ経済において重要な地位を占める農業 

  トルコの農業は、同国の経済と社会に大変重要な分野であり、農用地面積は、国土の約半分となる
7,900万ヘクタール、国内総生産(GDP)に占める農業の割合も12.2%(2003年)に上る。また、農
業就業人口は、10年前と比べると約25%減少しているものの、2003年時点においてもまだ、全就業者の
33.9%を占めている。

 主な農業分野は、穀物、野菜や果物である。1人当たりの畜産物の消費量をみると、牛肉はEU平均
の5分の1、牛乳は2分の1、卵は4分の3程度となっている一方、ヤギ肉では、EU平均を上回って
いる。畜産の経営規模は、小規模の家族経営が一般的で、畜産により生計を立てている農家は、畜産農
家全体の約2%に過ぎない。



農村開発政策が優先課題 

  トルコにおいて共通農業政策(CAP)を機能させるためには、引き続き農村開発分野での努力と行
政能力の向上が必要であると評価されている。

  トルコの農業政策改革プログラムは正しい方向にはあるが、まだ改革は完了していない。今後、加盟
前には、CAPの基準を完全に満たすように改革することが必要である。農業政策に関して最も強調す
べきことは、農業の再編や近代化を目指した農村開発戦略の創設と農村地域の経済再生である。トルコ
での農村開発政策の現状は、農業農村省による個別のかんがい対策、土地改良、農村道の建設などは開
始されているが、全体的な農村開発政策の戦略が作成されていない状況である。



東側国境での防疫体制改善が必要

  家畜防疫の分野では、加盟後において重大な問題が発生することを避けるため、トルコの東側国境地
域での防疫体制を大幅に改善する努力が必要であると評価している。

  トルコでは、家畜防疫に関する最近の主な政策として、牛海綿状脳症(BSE)、スクレイピー、口
蹄疫(FMD)などに関するサーベイランス・プログラムの導入やFMD、ブルセラ病、炭疽、狂犬病
などに対するワクチンの摂取などを適用している。

  また、EUの推奨により、牛の個体識別システムの設置を開始した。第一段階として、2004年9月現
在で約950万頭の牛に耳標の装着および個体登録が行われた。しかし、羊、ヤギの個体識別はまだ準備
中である。なお、動物福祉に関する規則も2004年7月1日に適用されている。



ブルガリア、ルーマニアのへの評価

 欧州委員会は同日、ブルガリアとルーマニアに関する同報告書も発表している。ブルガリアとルーマ
ニアは、コペンハーゲン・サミットにおいて両国が2007年1月1日にEUに加盟することとなっている。
 
  報告書では、両国の農業分野について、ブルガリアでは、家畜防疫に関する分野でかなりの作業が必
要であり、ルーマニアでは、行政能力の改善が必要であると評価している。




【ブリュッセル駐在員 山ア 良人 平成16年10月13日発】

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