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キプリアヌ委員、肥満対策実施を約束 欧州委員会のキプリアヌ委員(保健・消費者保護担当)は3月15日、欧州において、毎年40万人もの肥 満児童が増加している事実を目の当たりにし、欧州での肥満に対する食育対策をとることを約束した。 肥満は、心臓病、高血圧、呼吸器疾患、関節炎など多くの深刻な病気の原因となっている。欧州の肥満 は、U型糖尿病に発展する人々の数が増加していることから、非常に深刻な課題の一つになっている。こ れは、食べ過ぎと運動不足が原因となっている。特に、児童の間での太り過ぎ、肥満(体格指数(BMI) 25以上)の増加が続いている。 毎年40万人の太り過ぎ児童が増加 国際肥満特別調査チーム(IOTF)は、欧州の5人に1人の児童は太り過ぎとなっており、毎年40万 人の太り過ぎの児童が増加していると伝えている。すでに1,400万人以上の児童が太り過ぎ、少なくとも 300万人が肥満となっている。IOTFによる調査結果を見ると、太り過ぎや肥満は、北欧に比べ、南欧 に多く、特に、地中海の島(マルタ、シシリィ、クレタなど)、ポルトガル、イタリアでは、7歳〜10歳 の30%以上が太り過ぎか肥満となっていると報告している。また、欧州の成人においても、太り過ぎや肥 満が増加している。成人での肥満の割合は、男性が10〜27%、女性が38%以内となっている。 EUレベルの食育対策チームを立ち上げ こうしたことから、EUレベルにおける栄養、運動、健康に関する専門的知識を有する者による対策チ ーム(EU Platform on Diet, Physical Activity and Health)を立ち上げた。現段階の対策チームの メンバーは、キプリアヌ委員や、欧州議会、理事会の代表のほか、欧州飲食業同盟(CIAA)、欧州の 小売、卸売り、国際貿易分野を代表する団体であるユーロ・コマース、欧州の消費者のロビー団体である ユーロ・コープおよび欧州消費者同盟(BEUC)、欧州販売協会(EVA)、欧州現代レストラン協会 など13者の代表から構成されている。また、国際保健機関(WHO)、欧州食品安全機関(EFSA)が オブザーバーとして対策チームに参加する。 2006年中に行動計画を提案予定 対策チームのメンバーによる活動分野は、@表示を含む消費者への情報提供、A教育、B運動の促進 、C宣伝のあり方、D食品の構成、健康食品添加物の有効性、食事の分量の5分野としている。今後、 メンバーにより、現在実施されている栄養や運動に関して調査を行い、その後、前述の分野での行動計 画が提案されることとなる。2006年中の提案を目標としている。 ◎新たに3カ国のBSEの地理的リスクの再評価を公表 欧州食品安全機関(EFSA)は3月22日、コスタリカ、ニカラグア、エルサルバドルの中米3カ国 のBSEの地理的リスク(GBR:Geographical BSE Risk)の再評価結果を公表した。これによる と、3カ国ともレベルUの「BSEに感染した牛が存在する可能性は少ないが、ないとは断言できない」 という結果となった。コスタリカは、前回同様の評価であったが、ニカラグア、エルサルバドルは、B SE発生国からの肉骨粉や生きた牛の輸入がわずかに行われていたことから、前回のレベルT(BSE に感染した牛が存在する可能性がほとんどない)からレベルUとなる評価となった。 【ブリュッセル駐在員 山ア 良人 平成17年3月30日発】
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