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30カ月齢以上の牛由来の牛肉輸入再開延期 ジョハンズ米国農務長官は2月9日、米加農相会談後の記者会見において、2004年12月29日に公表し たカナダからの生体牛などの輸入規則のうち、30カ月齢以上の牛由来の牛肉輸入については、カナダに おける飼料規制に関する調査などが終了していないとして、3月7日からの実施を延期するとの方針を 公表した。 なお、輸入規則のもう一つの柱であった30カ月齢未満でと畜されることが確実である生体牛の条件付 き輸入については実施されることとなる。 同農務長官はこれに先立つ2月4日、テキサス州のサンアントニオで開催された全国肉牛生産者・牛 肉協会(NCBA)の総会における祝辞の中で、「カナダからの生体牛などの輸入解禁については、わ れわれがカナダからの生体牛を輸入停止すれば、世界中が米国の牛を輸入停止する可能性があることを 考える必要がある」と述べ、最終輸入規則の実施の必要性に理解を求めるとともに、「NCBAが独自 に行った調査報告では、本件は、人の健康問題ではなく、経済的な問題であるとしている。現在、NC BAの報告書を非常に注意深く読んでいるところであり、NCBAの皆さんが懸念していることに対し て、十分に注意を払っていることを理解して頂きたい」としていた。 カナダ農相、両国間での検討の継続を強調 ミッチェルカナダ農業・食料大臣は、「われわれは、米国とカナダとの完全な貿易再開のための次の 段階として、30カ月齢以上でと畜されることが確実である生体牛およびこれらの牛由来の牛肉の輸入を 可能とする方策の検討・作成を精力的に進めていくことについて議論した。われわれは、公衆衛生およ び家畜衛生の保護が両国における最重要課題であることが保証されるような決定が最新の科学に基づい て行われることに合意した」とし、今後も両国間でカナダ産の30カ月齢以上の生体牛および牛肉の貿易 再開について議論を継続していくことを強調した。 NCBAは輸入再開延期を歓迎 NCBAは2月9日、同農務長官がサンアントニオにおける総会で議論された米国の肉用牛生産者の 懸念に配慮し、カナダからの30カ月齢以上の牛由来の牛肉の輸入について3月7日からの実施を延期す るとの方針を決定したことを歓迎するとのコメントを公表した。NCBAは、今回の延期の対象とはな らなかったカナダからの30カ月齢未満の生体牛の輸入再開についても、国内の生体牛価格の低下が懸念 されるとして、輸入再開までに日本をはじめとする海外市場への米国産牛肉の輸出再開を強く求めてい る。 日本向け牛肉輸出の早期再開を切望 同農務長官は、この記者会見における記者からの質問に対し、「日本が今週下した決断は良い決断で あると考える」と2月8日に日本で開催された牛の月齢判別に関する検討会の結果を歓迎するとともに 、貿易再開の日が示されることを切望し、これに向けて努力していくとした。
【ワシントン駐在員 犬飼 史郎 平成17年2月9日発】
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