ALIC/WEEKLY


アルゼンチン北部4州の牛肉、EUが輸入解禁へ


  
北部4州の生鮮牛肉、EUが輸入解禁へ 

  アルゼンチン北部4州(サルタ、フフイ、チャコ、フォルモサ)からの骨なし熟成生鮮牛肉の輸入解
禁が、1月11および12日に開催されたEUのフードチェーン・家畜衛生常設委員会において承認された。

  2003年9月5日、アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)は国際獣疫事務局(OIE)に
、同国北部のサルタ州内、ボリビアとの国境40キロメートルに位置する農場において飼養されていた豚
に、口蹄疫の発生が確認されたことを報告した(海外駐在員情報通巻第594号参照)。

  これによりEUは口蹄疫の発生当初、サルタ州内の一部の郡に限定して生鮮牛肉の輸入停止措置を講
じていたが、その後SENASAが講じた国境地帯を含む口蹄疫対策を勘案し、同年10月8日以降北部
4州からの輸入を停止していた(海外駐在員情報通巻第620号参照)。

  EUの発表によれば、「アルゼンチンにおいて12カ月以上新たな口蹄疫の発生がないこと、2004年に
実施した検査ミッションが該当地域の状況が正常化されていることを報告していること」を解禁の理由
に挙げている。

  これについてアマジャSENASA総裁は「この結果に満足している。皆で組織の制度的強化に取り
組んでいる成果である」と話している。

  なおEUは、SENASAが監視体制を強化しているボリビアおよびパラグアイの国境線から25キロ
メートルの地帯からの輸入停止措置は継続するとしている。


危ぶまれる口蹄疫血清型Cの侵入

  SENASAはEUのこの輸入解禁の承認に先立つ1月5日、ボリビアおよびパラグアイとの国境地
帯(国境線1,300キロメートル、幅25キロメートル)において口蹄疫のワクチン接種を強化する措置を
発表した。

  この措置はブラジルで発生した口蹄疫に対処するためのものである。2004年9月10日ブラジル農務省
は、ブラジル北部のアマゾナス州マナウス市に近いカレイロ・ダ・バルゼア郡において口蹄疫が発生し
たことを発表し、農務省家畜試験場における検査の結果、12〜24月齢の牛のうち4頭が口蹄疫ウイルス
血清型C(以後「TypeC」)に感染していることを確認した。

  この発生地域は、農務省が口蹄疫対策として区分した北部畜産圏に属し、OIEの衛生ステータスを
持たないところであるが、自然障壁としてアマゾンの森林、川、湖があり、また道路によるアクセス方
法がないため、感染拡大リスクは低いと見られている。

  しかし、アルゼンチンでは1994年以降TypeCの発生はなくかつ1999年を最後にTypeCに対応するワク
チン接種を行っていないため、生産者などから北部の国境地帯においてTypeCを含むワクチンを緊急に
接種すべきとの要望が出された。これらを考慮しSENASAは、2005年の第1回ワクチン接種キャン
ペーンから、現行のワクチン(TypeAとO)に加え、TypeCを含むワクチンを上記の国境地帯でおのお
の1本ずつ接種することを決定した。なお、第2回ワクチン接種キャンペーンからは可能であれば現行
ワクチンにTypeCも含め1本とし、ワクチン接種の義務があるすべての地域を対象にするとしている。


OIEのステータス回復を期待

  1月10〜19日、OIEの動物疾病科学委員会において、口蹄疫ステータス評価特別グループおよび全
体会議が開催されることになっており、アルゼンチンは南緯42度以北が口蹄疫ワクチン接種清浄地域の
ステータスを回復することを期待している。

  南緯42度以北は2003年7月にOIEから口蹄疫ワクチン接種清浄地域として承認されていたが、やは
り2003年9月に発生した口蹄疫により、そのステータスは留保されていた。しかしその後口蹄疫の発生
がないなど、ステータス回復のための要件を満たしたことにより、その期待が高まっている。





【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成17年1月12日発】 



元のページに戻る