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米国下院農業委員会、WTO香港閣僚会合に向けた公聴会を開催 米国下院農業委員会は11月2日、世界貿易機関(WTO)のドーハ開発計画における農業交渉に関する公聴 会を開催し、香港閣僚会合に向けた米国内の農業団体などの意見を聴いた。当該公聴会では、米国が本年10月 に公表した農業に関する提案を支持するとともに、市場アクセスの大幅な改善を求める意見が述べられた。 全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)が公聴会で発言した内容は以下のとおり。今次交渉の成否を判断する基準は単純であり、日本と韓国の輸入牛肉に対する譲許税率を顕著に引き下げる 命令を成功裏に成果として得られるか否かである。 先の米国の市場アクセスに関する提案は、日本の輸入牛肉の関税を中国のWTO加盟交渉のパッケージとほ ぼ同水準の12%に引き下げるとのNCBAの目標に合致する。また、世界銀行の分析は重要品目としての扱い をタリフライン数の3%とすれば市場アクセスの真の改善は得られないことを示唆しており、1%に限定する ことが重要である。日本の米国産牛肉の輸入再開に関する過程は痛ましい程遅いため、米国産牛肉の輸入再開 により間違いなく牛肉に関する関税の緊急措置の発動に至るであろう。日本の牛肉の総輸入量は2003年の水準 より明確に低いと考えられるとの事実から(発動は)不適切である。日本の牛肉の関税の緊急措置の規定がこ のような仕組みの地球上で最悪の使用であることは疑う余地がない。この日本の病的な貿易障壁の廃止に向け て行動するようWTOにおけるあらゆる文書で要求するよう議会および交渉者に要求する。 第二の優先事項は韓国の40%の関税の引き下げである。韓国が自らを「途上国」のステータスを有すると位置 付ける現状では、目的の達成がより困難であることは明白である。ブラジルや韓国のような多数の国に自らの ステータスを決めさせることを継続することは世界的な自由貿易に有害である。これは、WTOの本質的な組 織としての問題であり、自己申告を認めている国際機関はWTOのみである。 EUの牛肉に対する国内支持は思い上がった業界の衰退を避ける措置として、市場の状況よりも納税者の金 に執ように依存した失敗の象徴である。NCBAはEUが固定した頭数に基づいて支払われる家畜支払いを、 国内の牛肉生産者への国内支持の削減を限られたものとするよりどころとする可能性があることに懸念を有す る。EUは2003年から牛肉の純輸入国に転じている。NCBAは米国の交渉者とともに、EU市場に長期に存 在する非関税障壁の解決のみならず、関税割り当ての拡大を要求してきている。食肉の貿易においては、高関 税を伴う関税割り当ては国内支持よりも市場阻害的である。現在、食肉製品には247の関税割り当てが存在し、 世界的な牛肉の平均関税率は85%と豚や鳥よりも高い。EUの農業政策は改革されているが、貿易の自由化は 先進国の農業支持政策には良いが、途上国のそれには適当ではないとの皮肉な矛盾にWTO加盟国、特に途上 国は立ち向かわなければならない。 NCBAは、関税引き下げ、関税割り当ての拡大のみならず、輸出補助金の廃止、国内生産支持の実質的な 削減による、実際の追加的な市場アクセスを提供する包括的なパッケージとして前進していくことを支持する。 さらに、米国の牛肉生産者が関税の引き下げを最大限享受するために、貿易相手先の正当化されない動植物 検疫や技術的貿易障壁の撤廃が保証されなければならない。(次号に続く)【ワシントン駐在員 犬飼 史郎 平成17年11月9日発】
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