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MLA年次総会開催 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は11月16日、年次総会を開催した。総会に先立って開催された 生産者フォーラムなどで、豪州食肉業界の今後の見通しや課題、品質保証制度に関する新たな取り組み などについて述べた。その概要を紹介する。 米国産牛肉解禁で2006年以降、牛肉価格低下 豪州食肉産業界の今後の見通しについて、MLAによると、このところ記録的な高値が続いた牛肉価 格は2006年以降5年から10年間は現状より低い価格で推移すると予測している。この要因として、米国 産牛肉の輸出再開と牛肉需要の伸びの鈍化を挙げている。また、口蹄疫清浄後のブラジルの牛肉輸出増 も要因の一つとして挙げられている。 ラムなどの羊肉についても、干ばつの緩和により国内生産量が増加することから、価格が低下すると 見ている。 また、上記以外に今後懸案となる事項として、@家畜疾病の脅威と食品安全性に関する懸念、A他の たんぱく資源との競争、B動物福祉問題、C貿易障壁の増加やWTO交渉の遅れ−などを挙げている。 海外市場戦略としては、顧客の需要に合わせた供給を行うことが長期的に市場を確保する上で重要な ポイントとし、この一環として、特に日本の消費者に対しては食味試験などを利用して、消費者が求め る製品を提供できるような新たな試みを開始したと述べた。 農場段階の新しい品質保証制度LPA QA また、MLAは、農場段階での新しい品質保証制度を2006年1月から実施すると述べた。この新たな 制度は「LPA QA」(Livestock Production Assurance Quality Assurance)と呼ばれ、詳しい内容 は未発表ながら、MLAの説明によると、現在実施されている農場段階の品質保証プログラムを一つに 集約するものであり、LPAレベル1に、LPAレベル2とされたキャトルケアや羊肉のフロックケア を組み入れたものとされる。LPA QAの実施により、任意の制度ながらも、豪州の生産者に単一の品 質保証システムが提供されることになる。 LPA QAの内容については、次の3つの要素を備えなければならないとしている。 ・食品安全管理プログラム(既存のLPA) ・システム管理プログラム ・家畜管理プログラム また、上記のほかに、特定の市場や実需者向けのプログラムも現在開発中である。この内容は、国内 のスーパーマーケットや海外市場の要求(日本の国内基準など)に合致したもの、あるいは豪州の産業 界が求める基準(環境管理基準など)と適合したものなどとなっている。 一方、既存のキャトルケアなどとLPA QAの整合性に関しては、キャトルケアなどを実施してい る生産者は自動的にLPA QAに加盟したこととなる。 この新制度を導入するメリットとしては20〜30%といわれるキャトルケアなどの普及率を高める効果 もあり、キャトルケアを実施しているフィードロットなどはこのLPA QAに、自社の品質安全プロ グラムを付加して、さらに安全性などを高めることもできる。また、プログラムを集約することから、 生産者に対する監査業務をスムーズに行うことができるとしている。MLAでは、「LPA QAは国 内市場および海外市場に品質の安全性を強調するために、豪州の生産者にとって重要な役割を果たす」 と述べ、その重要性を強調している。 MLA新会長にドン・ハートレー氏選出 今回の年次総会で、デービット・クロンビー会長の後任として、ドン・ハートレー氏が選出された。 同氏は、クイーンズランド(QLD)州北部に2つの牧場を所有し、日本や米国向けなどの肉用牛約9 千頭を飼養しており、98年からMLAの役員を務めていた。 【シドニー駐在員 井上 敦司 平成17年11月23日発】
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