ALIC/WEEKLY
OIEはワクチン接種清浄地域のステータスを保留 ブラジル農務省(MAPA)は10月10日、口蹄疫ワクチン接種清浄地域であるマットグロッソドスル(MS) 州南部のエルドラド郡において口蹄疫(血清型O) 発生が確認され、また17日には同郡とパラグアイ国境地 帯にあるジャポラン郡で新たに発生が確認されたことを公表している。 (海外駐在員トピックス(http://www.alic.go.jp/livestock/repnews/repnews.html)で既報) 国際獣疫事務局(OIE)は、ブラジル政府からの通報を受け、MS州に与えていたワクチン接種清浄地域 のステータスを9月30日から保留し、北部のトカンチンス州、南東部のミナスジェライス州、リオデジャネ イロ州、エスピリトサント州、北東部のバイア州およびセルジッペ州のステータスも保留したが、ブラジル 政府はこれらの州がMS州と距離的に離れていることから、OIEの措置は問題であるとして異議を申し立 てている。 食肉輸入停止は30カ国以上に上る MAPAによると、口蹄疫発生を受けてブラジル産食肉の輸入を一部または全面的に停止したのは30カ国 以上に上り、主要地域の停止対象と地域は以下のとおりである。 EU: MS州、パラナ(PR)州、サンパウロ(SP)州からの感染リスクの高い家畜(牛、水牛、ヤギ、羊、 豚)、その製品および副産物(以下「家畜など」) ロシア: MS州からの家畜などおよび鶏肉 アルゼンチン: MS州からの家畜など チリ: ブラジル全土からの牛肉およびMS州からの家畜など ウルグアイ: ブラジル全土からの牛肉および豚肉 パラグアイ: MS州からの家畜など EUはMS州に加え、隣接するSP州およびPR州の3州からの輸入を停止しているが、今年1〜8月の EU向け牛肉輸出額(冷蔵、冷凍肉)は、総輸出額17億2千万ドル(1,961億円:1ドル=114円)の約3割に 当たる5億4千万ドル(616億円)と大きい。また、EUとともに重要な市場であるロシアについては、M S州の食肉すべての輸出を停止していることから、ロドリゲス農相が18〜19日にルラ大統領とともにモスク ワを訪れ、今回発生した口蹄疫に対して講じた防疫措置に関する詳細な説明を行っている。 しかし、今後の輸出への影響は大きく、今年の目標としてきた80億ドル以上の輸出額の達成が危ぶまれて いる。 ワクチン接種清浄地域各州は対応を協議 一方、ワクチン接種清浄地域14州および連邦区の農業長官の会議が14日、ブラジリアにおいて開催され、 その席でMS州産の骨なし肉については、OIEの規定に従う限り各州とも規制を行わないことが合意され た。生乳、乳製品および牛皮についても同様とされる。ただし、口蹄疫が確認されたエルドラド郡と発生地 点より半径25キロメートル以内の4郡(イタキライー、イグアテミ、ジャポラン、ムンドノーボ)については、 規制が継続される。また、家畜の移動については、MAPAの指導の下、各州とMS州との協定によって個 々に定められる。 MS州に対する連邦政府の防疫資金として350万レアル(約1億7,850万円:1レアル=51円)が確保されて おり、州政府が提出したワークプランの分析を待って資金が投入されることとなっている。 発生地域のパッカーは他州に生産を移動 現地報道によれば、MS州にある多くの食肉パッカーが輸入停止措置を受けていない州に生産態勢を移し ている。ブラジル最大手のパッカーであるFriboi社はMS州での生産をゴイアス、マットグロッソ、ミナス ジェライス、ロンドニア各州にある工場に移し、MS州にある工場の操業は実質的に停止している。 全国農業連盟(CNA)は、今回の口蹄疫発生による輸出停止により、今年度の農畜産部門のGDPが3% 程度減少するものと予想している。【ブエノスアイレス駐在員 横打 友恵 平成17年10月19日発】
元のページに戻る