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05/06年度は前年度比1.9%減の3,106万トン 豪州農業資源経済局(ABARE)は9月6日、四半期ごとに発表している最新の穀物生産予測を 発表した。 今回の報告では、2005/06年度冬穀物の生産量について、東部の主要穀物生産地域であるニューサ ウスウェールズ(NSW)州が干ばつの影響により大幅に減産するものの、最大の穀物生産地域である 西オーストラリア(WA)州の増産などにより、全体としては前年度比1.9%減の3,106万トンを確保 できるとみている。また、これから作付けが始まる05/06年度の夏穀物生産については、作物ごとに 生産量が異なるものの、全体としては前年度比12%増の397万トンを予測している。 また、主要畜産地域を抱える東部地区での穀物生産減少に伴う今後の家畜飼料への影響については、 輸出量の調整により供給量、価格ともに大きな変化はないとみている。報告の概要は以下のとおり。 ○冬穀物 05/06年度の冬穀物生産量についてABAREは、前回(2005年5月末時点)の予測で豪州東部や 南東部の干ばつの影響により、過去10年間で2番目に低い生産量となる前年度比17%減の2,610万ト ンと予測していた。 しかし、WA州など気象条件に恵まれた地域の生産が予想以上に伸びたことから、最終的には前 年度並みの水準まで生産量を確保できるとみている。 地域別の生産動向をみると、国内最大の穀物生産地域であるWA州では、降雨に恵まれ穀物の生 育条件が整ったことから、前年度比16%増と大幅な増産を予測している。また、前回の予測で2割 近い減産としていたビクトリア、クイーンズランド(QLD)、南オーストラリアの各州について は、干ばつの影響を最小限に食い止められたことから、生産量はそれぞれ前年度をわずかに上回る としている。一方、WA州に次ぐ穀物生産地域のNSW州では、干ばつの影響が長引いた結果、前 年度比30%減と生産の大幅な減少が避けられないとみている。 ○夏穀物 これから作付けが始まる05/06年度の夏穀物についてABAREでは、作付面積は前年度比7% 増の135万ヘクタールに増加、また、例年並みの降水量が期待できる場合、生産量は前年度比12% 増の397万トンを予測している。 作物別にみると、家畜の飼料として利用されるソルガムの生産量は、主産地のNSW州やQL D州で、干ばつの懸念が払しょくされたことで前年度比13%の増産を見込んでいる。 ◎ 肉牛取引課徴金、2006年1月からの引き上げが決定 豪州連邦政府は9月8日、牛肉産業資金拠出運営委員会(BIFSC)から申請のあった肉牛取 引課徴金の引き上げについて、2006年1月から実施することで承認した。これにより、課徴金額は 現行の1頭当たり3.5豪ドル(301円:1豪ドル=86円)から5.0豪ドル(430円)に引き上げられる。 承認に際し連邦政府のマクゴーラン農相は、BIFSCが実施した課徴金引き上げの賛否を問う投 票率の低さを問題としたものの、最終的には大多数の意見を反映しているとのコメントを発表し、 引き上げの正当性を訴えた。なお、今回の承認の条件として連邦政府は、2010年末に再度、課徴金 額の見直しを求めており、これが行われない場合、現行水準に再び戻すことを言及している。 【シドニー駐在員 横田 徹 平成17年9月8日発】
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