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農業総生産は堅調に推移 フィリピン農務省農業経済局(BAS)は8月11日、2006年上半期の農業生産状況を公表した。農業部門 全体における生産量は、前年同期比4.9%増となり、第1四半期に引き続き堅調な伸びを示している。部門 別に見ると、畜産、家きん、作物、水産の4部門中、家きんを除く3部門が前年同期を上回っており、特に 水産部門(同8.1%増)と作物部門(同4.9%増)の好調さが目立っている。 農業総生産額の47%を占める作物部門では、主要作物のうち、米(もみ米)とトウモロコシが堅調な伸び を示したことと、サトウキビおよびココナッツが前年並みを維持したことにより作物部門全体で前年同期を 上回った。このうち、米の生産量は約653万9千トン、トウモロコシは約260万4千トンとなり、前年同期を それぞれ8.4%、32.0%上回っている。生産量が増えた要因として、米、トウモロコシともに気象条件に恵 まれたほか、米については、第1四半期と同様にかんがい施設の拡充による収穫エリアの拡大や品種と施肥 方法の改良、トウモロコシについては、引き続きハイブリッド品種の利用が増加したことなどが挙げられて いる。 畜産では豚肉および鶏卵が堅調 畜産部門(牛肉、豚肉、水牛肉、ヤギ肉、乳製品)の生産量は合計で約111万5千トンとなり、約108万6 千トンであった前年同期を2.7%上回った。品目別では、豚肉の生産量が89万トンとなり、前年同期より約 3万6千トン増加した。畜産部門における生産量の約8割を占める豚肉は、1994年以降、増加傾向で推移し ている。豚肉以外では乳製品が増加したものの、水牛肉は前年同期比2.4%減の6万3千トン、牛肉は同2.5 %減の11万6千トンとなった。なお、食肉の消費量(2004年)を見ると、豚肉の1人当たり消費量は16.7キ ログラムとなっており、ブロイラーの同8.2キログラムの約2倍となっている。 家きん部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)の生産量は同1.5%減の75万6千トンとなったものの、同 3.7%減であった第1四半期と比べると2.2%改善している。鶏卵は堅調な生産が続いており、同4.3%増の16 万トンとなったが、家きん部門における生産量の約7割を占める鶏肉は同2.6%減の55万トンとなった。 豚肉農家販売価格は前年を下回る 平均農家販売価格は、農業部門全体で同5.7%高となったが、第1四半期と比べると1.1%低下した。作物 部門は、同11.3%高で第1四半期に引き続き高水準となり、品目別では、トウモロコシが同15.5%高のキロ グラム当たり9.56ペソ(約22円:1ペソ=2.25円)サトウキビが同50.0%高の同1.5ペソ(約3円)などが目 立っている。 畜産および家きん部門では、豚肉がキログラム当たり70.2ペソ(約158 円)となり前年同期の同73.8ペソ より約5%下回ったが、第1四半期の同69.2ペソ(約156 円)と比べるとわずかに上昇している。鶏肉は同 66.9ペソ(約150 円)となり前年同期比2%高となった。そのほかの品目については、アヒル肉とアヒル卵 がわずかに前年同期を下回ったほかは高値となっており、生産量は少ないものの乳製品の同8.3%高が目立 っている。 【シンガポール駐在員 林 義隆 平成18年8月24日発】
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