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2005年は有機農畜産物の輸出が大幅に増加 アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)は、「2005年アルゼンチン有機生産の状況」を公表した。 これによると、 @ 有機農畜産物は、ほとんど輸出されており、主要輸出先はEU諸国であること A 農産物では大豆や亜麻、トウモロコシ、ナシ(果物)、畜産物では牛肉、加工品その他では濃縮オレンジジ ュース、ワイン、オリーブ油、羊毛が前年と比べ顕著に増加していること B 利用面積は前年とほぼ同じ234万ヘクタールであり、穀物、油糧種子、工芸作物に作付けが集中し、畜産は やや減少していること C 主な輸出品目は果物ではナシ、リンゴ、レモン、野菜ではタマネギ、油糧種子では大豆であること と総括している。 また、有機農畜産物の輸出状況をみると、有機畜産物は前年比40%増の1.0千トン、有機農産物などは同43% 増の65.5千トンとともに大幅に増加しており、昨年アルゼンチンの有機農畜産物の輸出減少(本紙通巻679号参 照)から2005年は一転し、輸出が大幅に増加している。 有機牛肉の需要を高める英国 有機畜産物の生産に利用される家畜については、牛は大幅に増加し前年比27%増の14万頭、羊はわずかに減 少し前年比0.2%減の645万頭となっている。一方、輸出量については、牛肉が大幅に増加し、その他の畜産物 はやや減少している。有機牛肉の輸出が大幅に増えた理由についてSENASAは、詳細は不明としながら、 「輸入国の有機牛肉の需要が増えたためであろう」と推測している。また有機牛肉の輸出状況をみると、ほと んど(輸出量の99%)が英国向けであることから、BSEや鳥インフルエンザの発生により、英国の消費者が、 有機牛肉の需要を高めていると考えられる。 なお、有機農畜産物の認定機関である国際農畜産機関(OIA)によると「有機農畜産物の価格は慣行農畜 産物に比べて約3割高」であり、SENASAによると「有機牛肉として輸出販売されなかった牛肉は、慣行 牛肉として販売されている」ことから、有機牛肉の需要の高まりは、有機畜産を実践する経営にとって収益向 上を図る機会になっていると考えられる。 【ブエノスアイレス駐在員 松本 隆志 平成18年6月28日発】
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