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ミャンマーで高病原性AI発生


高病原性AIが発生

 ミャンマーのヤンゴンにある畜水省家畜改良獣医局(LBVD)は3月12日、国際獣疫事務局(O
IE)に対して、同国でH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザ(AI)が発生したと報告し、13日
に受領された。

 報告によると、発生地は、ヤンゴンの北方約600キロメートルにある同国で第二の都市マンダレー
の地域で、これまでに家きん780羽が死亡または処分されたとしている。病性鑑定はヤンゴンの中央
獣疫診断所(CVDL)とマンダレーの地方獣疫診断所(RVDL)で行われ、対応処置は、殺処分
を原則とし、検疫と地域設定による移動制限としている。

 現地の情報によると、2月末時点でマンダレーからさらに100キロメートル北にあるシュウボ市付
近で死亡率が5割になる家きんの病気が確認されていたが、その時点では病名は不明であり、3月8
日のマンダレーの発生でAIが確認されたとしている。


日本は獣疫診断の技術援助を実施

 アジアにおけるAIの発生は2003年後半から始まり、ミャンマーに国境を接するタイ、中国および
ラオスでの発生が確認されていたが、ミャンマーでの発生報告は今回が初めてである。同国での発生
により、アセアン諸国の中ではシンガポールとブルネイの2国のみがAI未発生国となっている。

 同国に対して日本は、国際協力機構(JICA)が、タイを拠点とした広域家畜疾病防除計画の中
で獣疫診断の技術援助を実施しており、昨年もミャンマーをはじめとした後発開発途上国(LDC)
諸国のほか、インドネシアなどとともにマレーシアのイポーで研修を行った。


家きん肉は最も消費される食肉

 国連食糧農業機関(FAO)によれば、2005年のミャンマーの家きんの飼養羽数は約9千7百万
羽で、約34万トンの家きん肉が生産されたとしている。また、2003年の年間1人当たり食肉消費量は、
牛肉が2.8キログラム、豚肉や羊肉などが2.9キログラムに対して家きん肉は5.3キログラムとなって
おり、最も消費される食肉となっている。このほか、動物性たんぱく質としては、牛乳が14.8キロ
グラム、魚が18.9キログラム消費されている。


急落した鶏の農家販売価格

 今回のAI発生で、鶏の農家販売価格は急落した。ヤンゴン周辺の1キログラム当たりの鶏の農家
販売価格は、AI発生前の1,100チャット(110円:1チャット=0.1円(実勢レート))から報道後
の14日には750チャット(75円)と3割ほど急落したとされている。

 一方、代替需要が想定される牛肉や豚肉に関して、現時点では価格の動きは見られないものの、来
週には値上げされるものと見込まれている。


遅れた国内での政府発表

  現地の日本大使館に確認したところ、3月14日時点では、同国政府は国内でAIが発生したことを
発表しておらず、国民の一部が英国BBCの報道や口コミなどで知っている状況とされていた。その
後、16日の新聞に13日の日付で公表された。

 一方、発生が確認されたマンダレー地域では、行政当局が市場での家きん肉と卵の販売を禁止し、
家きんおよび家きん製品の移動についても禁止したとしている。



【シンガポール駐在員 斎藤 孝宏 平成18年3月16日発】



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