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3カ月間AI発生の報告なく経過 ベトナムでは2004年1月に鳥インフルエンザ(AI)の発生が確認されて以来、大量の鶏やアヒルなど 家きんの殺処分を行うとともに、2005年8月にはワクチンの接種を開始した。2006年4月中旬までのとこ ろ、感染が確認されたのは93人で、そのうち42人が死亡している。この数字は、AI発生確認国の中で2 位のインドネシアの24人を大きく上回るものとなっている。 ただし、同国における家きんのAI感染は昨年11月下旬以来、また人間への感染に関しても昨年12月以 来、現時点まで報告されていない。 なお、同国におけるAIワクチンの接種は、2005年には1,890万ドル(22億3千万円:1ドル=118円) を費やして1億2千万羽の家きんに行われ、今年も1億6千万羽への接種を予定しているとされており、 昨年に比べてスローペースながら、3月末までに112万羽の鶏と146万羽のアヒルに対してワクチン接種が 行われたとされている。 家きん処理施設整備のため621億円の予算を申請 2月末、同国農業農村開発省(MARD)は、今後のAIの発生防止のほかに、AIの被害を最小限に 抑えるとともに食品衛生対策を強化する目的で、現在の小規模な家きんの飼養状況や食鳥処理および加工 システムを大規模な体制に変革するため、2006年から2015年の間に必要とされる予算、5億2千660万ドル (621億円)を政府に申請した。 小規模生産者を家きん以外へ誘導 MARDによれば、家きん生産の約8割は小規模な生産者によって生産されており、資金などの面から 十分な衛生対策を採ることが困難とされている。このため、このような生産者に対してMARDは、家き んからほかの家畜や作物への転向を奨励する措置として、無利子で900ドル(10万6千円)を2年以内の ローンで貸し出すとしている。 食鳥処理能力を大幅に増強 また、2007年までに全国に105カ所の食鳥処理施設を建設し、年間処理羽数を1億3千5百万羽にし、 2010年に121カ所の施設で2億1千万羽、2015年には処理施設を170カ所に増設し6億羽の食鳥を処理する としている。これにより、近代的な食鳥処理施設での処理羽数のシェアを、2003年の50%台から2015年に は70%前後に増加させたいとしている。 このため、MARDは当面必要とされる予算として、2006年から2007年分の5,480万ドル(6億5千万 円)を政府に要求した。 中国、カンボジア国境を警戒 3月中旬、MARDは、北部の中国および南部のカンボジアの国境における密貿易を厳しく取り締まる よう、税関や国境警備に当たる部隊などの関係部署に指示した。これは、中国南部の広西チワン族自治区 と国境を接するクワンニン県のモンカイ市において中国から密輸された家きんを調べたところ、H5N1 型ウイルスが検出されたとされたためである。この地域では、今年に入って鶏肉40トンと鶏卵12万6千個 が摘発されている。 また、ベトナム南部においては、AIの発生が継続して報告されているカンボジアから、AIウイルス に汚染された家きんなどの密輸が警戒されている。 ベトナム国内での家きん価格は、一定期間AIの発生報告が無かったこともあり、旧正月以降、需要の 回復とともに大きく上昇しており、これが家きんの密輸に対する警戒理由の一つとされている。 【シンガポール駐在員 斎藤 孝宏 平成18年4月27日発】
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