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本年末以降も輸入一時停止措置を継続することを勧告 欧州食品安全機関(EFSA)は11月14日、第三国からEU域内への野鳥の輸入について、動物衛生および 動物福祉の観点から慎重に検討していくべきであるとして、現在のEUにおける家きん以外の野鳥の輸入一時 停止措置を本年末以降も継続することを促す勧告を行った。 EUでは、野鳥の輸入を介して、鳥インフルエンザなどの動物疾病の感染源が侵入し、域内の家きんなどに 感染するリスクを軽減するため、2005年10月以降、野鳥の輸入を一時停止し、本措置は、本年12月31日まで適 用することとなっている。本措置が適用されるまでEUでは、年間約80万羽の野鳥が、ペット、ショー向け、 動物園での飼養目的で輸入されていた。 今回、欧州委員会は、野鳥の輸入に関し、動物衛生および動物福祉の両面からリスクアセスメントを実施す るよう、EFSAに依頼をしていた。今回のリスクアセスメントは、基本的に、鳥インフルエンザ、ニューカ ッスル病およびクラミジア症に焦点を当てたものとなっており、EFSAは、この勧告が、欧州委員会および 加盟国に、現在の輸入の一時停止措置を継続するための参考意見となることを期待している。 動物衛生および動物福祉の観点からの主な勧告内容 今回のEFSAによる勧告のうち、野鳥の輸入を介した外来の動物疾病のEU域内への侵入リスクを軽減す るための、主な勧告は以下のとおり。 ・輸出国側での検査方法の改善が、EU域内に感染源が侵入する可能性を低減することに最も効果がある。そ のため、第三国での適切な検査、トレーサビリティ、品質管理の改善が必要である。 ・域内へ輸入した野鳥から感染源を発見する方法の信頼性を高めるためには、現在の診断検査方法の統一や改 善の継続が必要である。 ・輸送を介しての交差汚染を避けるためのバイオセキュリティ対策の改善が必要である。 また、動物福祉面での主な勧告は次のとおり。 ・捕獲した野鳥の取り扱いは、大変粗末なものとなっているため、これらの鳥を輸入するためには動物福祉の 正当性を入念に検討すること。 ・捕獲から輸入までのすべての状況において、動物福祉の大幅な改善が必要である。 ・捕獲した野鳥を輸入するより、動物福祉に配慮した状況下で繁殖して育てられた同種の鳥を輸入する方が好 ましい。 ・生体の代わりに、種卵を輸入することが、生体の苦痛を軽減するために好ましい。 キプリアヌ委員、鳥インフルエンザへの警戒の継続を促す 欧州委員会のキプリアヌ委員(保健・消費者保護担当)は11月20日、EUの農相理事会において、現在のE Uおよび第三国での鳥インフルエンザに関する情報を提供した。同委員は、現在同疾病は、EUおよび第三国 において、ほとんど発生していない状況であるが、適切なバイオセキュリティ対策、早期発見システム、厳格 な輸入制限を維持し、同疾病に対し、絶えず警戒を怠らないよう加盟国に促した。 【ブリュッセル駐在員 山ア 良人 平成18年11月21日発】
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