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アルゼンチンでは牛肉輸出が再開してから3カ月がたとうとしていることから、前年同月と比較すること により、牛肉をめぐる現状を報告する。 輸出量を見ると、3月13日の輸出停止措置(海外駐在員情報712号参照)を受け、4月には大幅に減少した。 5月26日の輸出再開決定(海外駐在員情報724号参照)を受け、輸出量は急速に回復し、7月には輸出制限が 続く生鮮肉を除くと輸出量は前年同月をかなり上回っている。一方、輸出単価をみると、前年同月に比べか なり高い水準で推移しており、特に生鮮肉は5月以降、4割高以上で推移している。 次にアルゼンチン国内の牛肉小売価格を見ると、3月までは前年同月に比べ約2割高であったが、4月6 日には牛肉価格引下げのための小売指標価格(海外駐在員情報716号参照)が設けられたため、5月以降は約 1割高まで低下している。 最後に若齢去勢牛の生体取引価格を見ると、3月までは前年同月に比べかなり高かったが、4月から低下 し、6月以降は前年同月をやや下回って推移している。 今後の課題は牛肉生産量の拡大 政府は牛肉小売価格の上昇抑制に成功し、また飼養頭数の増加などの目標を定めた畜産振興計画を公表 (海外駐在員情報730号参照)したことから、畜産関係者は牛肉輸出の制限を緩めることを政府は認めるで あろうとみている。 このため、生鮮牛肉の輸出については2005年同期実績の40%に制限されているが、この制限を2007年には 80%まで緩和、2008年には90%、2009年には制限を無くすという提案を畜産関係者が検討していることが伝 えられている。 牛肉輸出の状況を見るとアルゼンチン牛肉に対する高い需要があり、生体取引価格が低い状況では収益向 上に向け出荷頭数の増加が必要であることから、今後アルゼンチンでは牛肉生産量の拡大に向けた取り組み が課題となると考えられる。 【ブエノスアイレス駐在員 松本 隆志 平成18年8月30日発】
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