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USDA、農場登録の推進の必要性を強調 米国における全国家畜個体識別制度(NAIS)は、米国農務省動植物衛生検査局(USDA/APHIS) により、2004年から実施されている。本制度の目的は、米国内における家畜疾病の発生など家畜衛生に関する 緊急事態に対し、生産者および州・連邦政府の家畜衛生当局が迅速かつ効果的な対応をとることを可能とする システムの開発・実施である。 USDAは当初、NAISの実施について、任意の制度として開始した後、義務化する方針案を示していた が、2006年8月、任意のまま継続実施する方針を固めた。また、本制度では、@施設の登録、A家畜の個体識 別、B家畜の追跡―を主な構成要素とし、順次実施することとしている。 家畜を管理する農場の登録は2005年8月までに、すべての州において開始された。NAISでは本年1月現 在、目標としていた全体の25%(35万戸超)の農場登録を達成したものの、USDAのナイト次官(マーケテ ィング・規制担当)は当時、「畜産生産者団体は、本システムを十分機能的なものとするため、生産者の参加 (農場登録)水準をさらに高めることが重要である」と述べていた。 生乳生産者団体などと農場登録の連携を強化 USDAは8月2日および8日、全国生乳生産者連盟(NMPF)、米国アンガス協会(AAA)と、NAI Sにおける農場登録の推進を目的とした協力協定(Cooperative agreement)を締結したことを公表した。 米国最大の生乳生産者団体であるNMPFは2005年10月、酪農業界におけるNAISを推進するため、米国 ホルスタイン協会など他の5つの酪農団体とともに「IDairy」を設立した。IDairyは、これまでに3万戸 以上の酪農家の農場登録を支援してきたが、依然として35,000戸程度は未登録の状況であるため、今後、酪農 経営体における100%登録を最終目標としている。 また、アンガス牛の繁殖農家など34,000以上の会員から構成されるAAAでは設立以来、1,500万頭以上の アンガス牛を登録し、78年以降は、アンガス種の認定制度を開始するなど生産者を支援するプログラムを実践 してきた。AAAは、NAISを米国における家畜衛生の管理手段の第一歩と位置付け、今後、約15,000農場 の追加登録を見込んでいる。 今回の合意により、NMPFには100万ドル(1億2千万円:1ドル118円)、AAAには58万ドル(7千万 円)の財政支援措置が講じられ、各団体により、会員向け機関誌やダイレクトメールなどを通じた農場登録を 推進するキャンペーン活動が行われることとなる。 豚肉生産者団体では既に50%超の農場を登録 USDAは本年2月2日、NAISの進展、特に本制度の基礎となる農場登録を加速するため、畜産分野に おける非営利団体からのUSDAとの協力関係を要請し、総額600万ドル(7億1千万円)の財政支援措置を 公表した。 畜産団体の中でこの取り組みに真っ先に参画したのが、全米豚肉ボード(NPB)であった。NPBは、全 国豚肉生産者協議会(NPPC)とともに、独自の肉豚IDシステムを強化するため、2005年には「個体識別 推進作業部会」を結成しており、また、2007年初めには、NAISにおける肉豚生産者の農場登録を、本年末 までに100%完了する目標を掲げた(NPBによると、本年3月上旬時点における肉豚生産者の登録実績は50 %超)。 また、USDAは6月4日には全米農業後継者(FFA)機構と、さらに、7月17日には米国家畜個体識別機 構(USAIO)と協力協定を締結したことを公表した。これにより、全米FFA機構は、将来の農業ビジネ スにおける指導者的立場となるべく準備に備える約50万人に及ぶ学生メンバーに対して、NAISに関する広 範囲にわたる知識普及活動を、また、USAIOは、10万戸以上の新規登録を目指し、家畜生産者への支援活 動を行うこととなる。USDAでは、この協力協定への参加申し込みを本年9月4日まで受け付けている。 なお、USDAによると、8月6日現在の本制度における農場登録実績は409,791件で、米国における制度 対象家畜を管理する農場全体(USDA推計値)の約29%とされている。 【ワシントン駐在員 唐澤 哲也 平成19年8月15日発】
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