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EUの農相理事会は6月12日、オーガニック生産およびオーガニック製品の表示に関する新たな規則につ いて合意に達した。新たな規則には、オーガニック生産に関する基本的なルールに加え、義務的な表示方法 や輸入製品に対する新たなルールなどが盛り込まれている。 EUにおけるオーガニック生産は順調に拡大 EUにおける2005年のオーガニック生産は、全利用耕地面積の3.9%に相当する約612万ヘクタールで行わ れており、これは前年に比べ6%増のかなりの程度の伸びとなっている。加盟国により取り組みの度合いは 異なるが、最も盛んなオーストリアでは全利用耕地面積の11.0%でオーガニック生産が行われており、これ にイタリア(8.4%)、チェコ共和国およびギリシャ(7.2%)が続く。 また、オーガニック生産に取り組む生産者数は全生産者の1.6%で、その平均経営面積は39ヘクタールと、 全生産者の平均16ヘクタールを大きく上回っている。 畜産物のオーガニック生産については、飼料生産や利用方法、投薬の制限、動物福祉基準の順守などの多 くのルールが適用される。羊や牛についてはオーストリアが最も盛んであり、オーガニック生産の割合が同 国で飼養される羊の24%、牛の17%、また、豚についてはギリシャが最も盛んであり、同国で飼養される豚 の13%となっている。 オーガニック製品についてロゴ表示を義務化 今回の規則の目的の1つは、EUにおけるオーガニック生産やオーガニック製品の消費の拡大に併せ、そ の製品の品質を保証し、消費者に正しい情報を伝えることである。本規則においては、オーガニック製品の 定義を、従来のオーガニック規則(理事会規則EEC/2092/91)における「少なくとも製品原料の95%がオー ガニック由来であること」から「製品の原料重量の95%がオーガニック由来であること」と変更した。また、 オーガニック製品については共通のロゴ表示を義務化した。なお、オーガニック製品ではない製品について も、オーガニック生産による原料を含む場合には、原材料リストにのみどの原料がオーガニック生産による ものかを明記できることとなっている。 遺伝子組み換え体の使用は引き続き禁止 オーガニック生産において遺伝子組み換え体(GMO)の使用は、引き続き禁止となっている。 一方で、オーガニック製品へ偶発的に混入するGMOの許容含有率をどの値に設定するかが本規則の制定 における大きな争点の1つとなっていた。欧州委員会による当初の提案では、通常の食品と同様に認可され たGMOについて0.9%まで許容するものであった。一部加盟国からは、この許容含有率を、より低い0.1% にするべきとの強硬な意見が出されていたが、最終的には当初の欧州委員会の提案どおり0.9%とされた。 輸入製品にも同様の対応を義務付け 第三国より輸入するオーガニック製品についても、ロゴの使用も含め、EUで生産される製品と同様のル ールが適用される。そして、輸入者を含め、製品の原料生産、加工、流通まで、関係するすべての者は、こ の基準を満たすことを文書で証明する義務を負う。 なお、どこで生産された原料から製造された製品かを消費者などに認識してもらうため、EU由来の原料 のみで製造される製品については「EU Agriculture」、輸入原料のみで製造される製品については「non−EU Agriculture」、両方の原料から製造される製品については「EU/ non−EU Agriculture」の表示をロゴと併 せて行うこととなっている。 本規則については2009年1月1日より適用される予定である。
【ブリュッセル駐在員 和田 剛 平成19年6月20日発】
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