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生産量は前年度比2.4倍の3,701万トン、作付面積も10%増 豪州農業資源経済局(ABARE)は6月19日、四半期ごとに発表している最新の穀物生産見通しを 発表した。これによると、2007/08年度(7〜6月)の冬穀物生産量は、前年度比2.4倍の3,701万トン と大幅に増加して3千万トン台に回復するとともに、作付面積も同10%増の2,044万ヘクタールと予測 している。 前年度は、100年に一度といわれる大規模な干ばつの影響で小麦などの冬穀物生産は前年度比62%減 の1,571万トンと大きく減少し、1994/95年度の干ばつ時に次ぐ低水準となっていた。しかし、今年度は、 冬穀物のは種期に当たる4月下旬から5月中旬にかけて主要生産地帯でまとまった降雨が記録され、そ の後の気象状況も平年並みで推移していることから、生産の回復が期待されている。 冬穀物はいずれも増加見通し、一方で2006/07年度の夏穀物生産は減産結果 冬穀物の生産見通しを品目別に見ると、小麦が前年度比229%となる2,249万トン、大麦は同243%の 905万トン、カノーラは同273%の140万と、生産量はいずれも例年水準を上回ると予測している。 また、生産量を地域(州)別に見ると、小麦や大麦の生産が可能な州のすべて(北部準州を除く)で 軒並み増加となり、特に最大の生産量を誇るニューサウスウェールズ(NSW)州では、前年度比374 %の1,144万トン、西オーストラリア(WA)州が同136%の1,054万トン、南オーストラリア州が同274 %の697万トン、ビクトリア州が同460%の625万トン、クイーンズランド(QLD)州が同130%の109 万トンとみている。 一方、すでに収穫を終えている2006/07年度の夏穀物生産については、干ばつの影響から生産は大幅 な減少となっている。品目別では、飼料用穀物として利用されているソルガムが前年度比52%減の95万 トン、綿実が同54%減の39万トンとなった。また、米についても、かんがい用水の規制が強化されたこ とで、生産量は前年度比83%減の17万トンと、ここ20年来の最低水準であった。 回復の見通しながらも、より一層の降雨が必要 冬穀物の生産見通しは例年並みに回復としながらもABAREでは、冬穀物の主要生産地域であるN SW州とWA州では、降雨量が平年水準に比べて低いとしており、その他地域でも、厳しい干ばつの影 響で土壌が乾燥していることから、穀物の生育を促すためには、より一層の降雨が必要としている。豪 州気象局によると、2007年3〜5月の降雨量は、WA州とQLD州の穀倉地域などで平年水準を下回っ たが、NSW州はおおむね平年並みとしている。 【シドニー駐在員 横田 徹 平成19年6月21日発】
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