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AIが東南アジアの各地で再発


ミャンマーやラオスでも再発

 東南アジアでは、2003年に高病原性鳥インフルエンザ(AI)が発生し、これまでアセアン10カ国中7カ国
において家きんやヒトへの感染が確認されている。中ではインドネシアにおいてAIによる犠牲者が多く、3
月初めまでの世界保健機関(WHO)の統計ではこれまで68人が死亡し、そのうち5人が今年に入っての犠牲
者である。次いで犠牲者が多いのはベトナムの42人になっているが、今年に入っての死亡は報告されていない。
また2月下旬になり、これまでに発生はしたもののいったんは収まったとされるミャンマーやラオスでの発生
が報告された。ミャンマーでの今回の発生は、人口集中地域のヤンゴンの近郊であり、その影響は前回よりも
大きいと懸念されている。なお、下表2には反映されていないが、直近の報道ではラオスでは患者が死亡した
とされている。


フィリピンは野鳥の動向を中心に警戒

 鳥インフルエンザウイルスは寒くなる季節に活発化するといわれており、この時期、北半球では中国、韓国
をはじめ、欧州でもAIの発生が報告されている。またアセアン地域でも感染経路の一つとして渡り鳥が疑わ
れており、監視の対象となっている。

 中でもフィリピンは、AIウイルスの国内への侵入は、発生国からとしており、そのため、空港や港湾での
監視を強化するとともに、同国に50カ所以上ある渡り鳥の中継地の監視を強化し、野鳥の狩猟を規制している。
また、発生した場合の対応を迅速にするため、ラジオ、テレビそして出版物などを通じて国民のAIへの注意
を喚起している。直近では、日本でのAI再発生を受けて、いち早く日本産家きん製品などの輸入を停止した。


マレーシアは港湾を中心に警戒を強化

 このような中、過去に2004年8月と2006年6月に2度ほどAIが発生したマレーシアは、AIによる家きん
産業への影響を低減するため、監視体制の強化を図っている。同国農業・農業関連産業省は、特に港湾におい
て船舶による家きん製品や卵などの密輸を厳しく取り締まるとしている。また、保健省はヒトへの感染に対応
するため、現状では人口の2.5%に対応する分のタミフルの備蓄を2009年までに10%まで引き上げたいとして
いる。このほか、21の病院に隔離施設を整備するほか、患者の診察による監視と、ウイルスの検出検査のほか、
口コミ情報の確認を行うとしている。また、同国の隣国であるシンガポールでは、国内に家きんの飼養施設は
ほとんどないものの、人口が密集しているため、ウイルスの変異によるヒトからヒトへの感染を警戒している。






【シンガポール駐在員 斎藤 孝宏 平成19年3月8日発】



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