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2007年度の農産物輸出額は前年比93億ドル増の780億ドル 米国のジョハンズ農務長官は3月1日、ワシントンで行われた米国農務省(USDA)主催の農業観測 会議で講演を行い、2007年度(2006年10月〜2007年9月)の農産物輸出額が前年度実績を93億ドル(約1 兆1千億円:1ドル=118円)上回る780億ドル(約9兆2千億円)に達し、4年連続で史上最高水準を更 新するとの予測を公表した。 同日付けでUSDAが公表した農産物貿易予測によると、今回公表された予測値は輸出額、輸入額とも に前回11月の予測値から10億ドル(約1千2百億円)上方修正され、おのおの、780億ドル、700億ドル (約8兆3千億円)になるものと予測されている。また、これらの修正の要因として、輸出について主に メキシコや東南アジアへの穀物輸出が好調であること、輸入については欧州からのビールや中国からの果 実加工品が予想以上に増加していることが挙げられている。 穀物および油糧種子が輸出額の増大をけん引 輸出予測値の780億ドルの内訳を見ると、最も大きく増加するのは穀物および飼料であり、前年度から44 億ドル増の228億ドル(約2兆7千億円)と予測されている。中でも、トウモロコシは過去最高となった昨 年度の5,613万トンに迫る5,600万トンの輸出が見込まれ、輸出単価がトン当たり165ドル(19,470円)(昨 年度は110ドル(12,980円))に上昇することから、金額ベースでは92億ドル(約1兆1千億円)(昨年度は62 億ドル(約7千3百億円))に増加するものと見込まれている。また、油糧種子の輸出額についても、好 調な大豆および大豆油の輸出を反映して、昨年度を20億ドル上回る127億ドル(約1兆5千億円)と予測さ れている。 畜産物についても着実な輸出拡大を予測 畜産物の輸出については前回11月の予測から4億ドル上方修正され、昨年度を12億ドル(約1千4百億 円)上回る146億ドルになるものと予測されている。 このうち、豚肉については輸入国における他国産食肉の輸入規制や米ドル安により輸出量、輸出額とも に増加し、それぞれ107万トン、26億ドル(約3千百億円)に達すると予測されている。特に、経済成長 に伴って食肉消費の拡大が著しいロシア市場への輸出が大きく増加するものと見込まれている。また、鶏 肉については、価格の上昇と中国の需要増大により、21億ドル(約2千5百億円)に増加するものと予測 されている。なお、牛肉および乳製品についても、ともに昨年度を上回る19億ドル(約2千2百億円)に なるものと予測されている。 成長を続ける途上国への輸出拡大が今後の成長のカギに 同日、ジョハンズ農務長官に先立って講演した海外市場局担当のエレン・タープストラ次官補は、米国 の農産物輸出相手国に大きな変化があったことに言及し、メキシコが日本を抜いて第2位に、中国がEU を抜いて第4位になったことを取り上げた。 また、同次官補は、米国の農業が成長を続けるためには中産階級が増加する途上国市場への参入が不可 欠であるとするとともに、WTO農業交渉においては、関税の大幅削減が免除されるセンシティブ品目数 を限定するだけでなく、譲許税率ではなく実行税率を十分に引き下げ、実質的な輸入改善につなげていく ことが重要になるとの考えを明らかにした。 【ワシントン駐在員 郷 達也 平成19年3月7日発】
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