牛肉・肉用子牛


〔牛  肉〕

膨らむ一方の推定期末在庫

 5年6月の推定出回り量(消費量、部分肉ベース)は、輸入品の出回り量が増加し、
全体で7万2千337トンと前年をやや上回った(5.7%、図1)。

 最近の牛肉需要は、量販店における特売、中元等により堅調に推移していたとこ
ろであるが、需要を上回る輸入量の増大により、6月末推定期末在庫は8万4千623ト
ンと前年同月を大幅に上回ることとなった(18.3%、図2)。このうち、輸入品の
在庫は、4月以降増加の一途をたどり、7万4千172トンと全体の87.6%を占めるに至
っている。

堅調な和牛生産量

 6月の牛肉生産量は、3万2千44トンと前年並であった(0.2%、図3)。

 種類別のと畜頭数を見ると、和牛は、去勢和牛、めす和牛とも増加(それぞれ4.
3%、8.1%)し、和牛全体では前年をかなり上回った(5.5%)。一方、乳牛は、
乳用肥育おす牛が減少したことから前年をわずかに下回った(▲1.2%)。

輸入牛肉の増勢続く

 6月の輸入量は、円高の影響等で冷蔵品・冷凍品とも増加し、4万9千466トンと大
幅に増加した(29.9%、図4及び図5)。

 事業団が36商社から聞き取った独自の調査によると、7月の輸入見込みは、冷蔵
品2万6千トン、冷凍品2万2千トン、合計約4万8千トン前後と6月をわずかに下回る
と見込まれ、また、8月については、7月よりも下回るものと見込まれる。

省令価格、7月は1,074円(速報値)

 6月の省令価格(東京市場、以下同じ)は、921円/sと前年をかなり下回った
(▲8.3%)ものの、7月の速報値では、和牛比率が高まったこともあり1,074円/
kgまで回復している(4.8%、図6)。

 6月から7月上期にかけての輸入牛肉価格(国内仲間相場)は、量販店等でのセー
ルも一段落したため、北米産のストリップロインを除き弱含みで推移している。

 一方、去勢和牛「A-5」、「A-4」の価格は、6月は前年を下回ったものの7月に入
りこのクラスの中元手当が活発化したことから前年をわずかに上回る水準になって
いる。乳用種の価格は、6月は、一部量販店等での輸入牛肉から国産牛肉へのシフ
トも沈静化し、乳おす・乳めすとも前年を下回っている。7月に入り、若干の価格
の回復がみられるものの天候不順等の影響から焼き肉需要も活発化せず前年を下回
っている。

〔肉用子牛〕

黒毛和種の価格は下げ止まりか

 6月の黒毛和種の子牛価格(雌雄平均、以下同じ。)は、31万5千円/頭で前月よ
り値を下げているが、7月の速報値(8月10日現在。以下この項で同じ。)では、31
万9千円/頭と前月よりわずかに回復している。これを雌雄別にみると、4年12月か
ら前月まで両者とも一貫して値を下げてきたが、7月は雌が値を下げたものの、逆
に雄は値をやや上げている(図7)。

わずかに回復した乳用種の価格

 6月の乳用種の子牛価格は、8万8千円/頭と前月より値を下げたが、7月の速報値
では、8万9千円/頭とわずかに回復している(図8)。これを雌雄別にみると、7月
は雌が値を下げたものの、雄はやや値を上げている。また、5年4月以降は、9万円
/頭前後で安値安定の状態にある。

ヌレ子の価格は若干の下げ

 6月の乳用種のヌレ子価格は、6万3千円/頭と引き続きかなり値を上げているが、
7月の速報値では、6万円/頭と前月よりやや値を下げている(図8)。ヌレ子価格
は地域差が大きく、西日本に比べて東日本が高く、特に北海道が7万円/頭台(6月)
となっている。

今月のトピックス
輸入についての理解と協力を要請

 今月6日に、農林水産省畜産局は、主要な輸入牛肉の取扱業者を集めて懇談会を開き、「需要に見合った秩序ある牛肉の輸入についての理解と協力」を要請した。最近の牛肉輸入量を整理すると右表のとおりとなるが、その伸び率は驚異的な数値を示している。季節的に牛肉が不需要期といわれる6月に4万9千トンもの輸入があり、そのうち2万6千トンが冷蔵品で占められている。和牛の一部にまで輸入牛肉の影響が出始め、さらに豚肉にまでも及んでいる。
   輸入量 前年比
4年度 423.4千トン 129.5%
5年4月 62.6 116.8
5月 46.0 149.2
6月 49.5 129.9



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