★ 事業団便り


畜産問答


(問)最近肉専用子牛の価格が低落していますが、どのような対策がとられているのでしょうか。 (熊本県 T)
(答)
1 黒毛和種と褐毛和種の分離

(1) 肉用子牛生産者補給交付金制度(いわゆる「肉用子牛に対する不足払」。「畜
 産の情報」4月号で解説済)は、不足払いの基準となる価格(保証基準価格等)
 についての品種を
  @ 黒毛和種及び褐毛和種
  A 黒毛和種及び褐毛和種以外の肉専用種(日本短角種、無角和種等)
  B 肉専用種以外の品種(乳用種等)
 に3区分し、定めていました。

  その後、牛肉の輸入自由化の影響を受けて褐毛和種の子牛価格が大きく低下し、
 黒毛和種との間に明かな差が認められることとなったため、平成5年度からは、
 「黒毛和種及び褐毛和種」の品種区分を「黒毛和種」と「褐毛和種」に分離する
 こととなりました。

(2) 褐毛和種に補給金が交付

  品種区分が分離された「褐毛和種」の5年度第1四半期の平均売買価格は、19
 万3千100円/頭と保証基準価格(28万円/頭)を大幅に下回っており、年度はじ
 めから早速生産者補給金が交付されております。


2 肉専用種の子牛に奨励金を交付

(1) 褐毛和種だけでなく、高い水準で推移していた黒毛和種の子牛価格も、平成4
 年以降、景気の後退等により下降傾向にあります。5年度第1四半期の平均売買
 価格は、31万1千400円/頭と保証基準価格(30万4千円/頭)のすぐ近くまで来
 ています。

  このような価格になると、農家の方達の経営不安から生産意欲が低下し、肉用
 牛の生産基盤である繁殖雌牛が減少していく心配があります。このような観点か
 ら、子牛価格の低落時に繁殖基盤を強化するために、肉専用種繁殖経営の基礎と
 なる繁殖雌牛頭数を維持拡大した場合に、肉専用種の肉用子牛に奨励金を交付す
 る「子牛生産拡大奨励事業」がありますが、5年度第1四半期について、「黒毛
 和種」、「褐毛和種」及び「黒毛和種及び褐毛和種以外の肉専用種」に対してこ
 の奨励金が交付されることとなりました。

(2) この事業で、奨励金の交付を受けることができる子牛は、肉用子牛生産者補給
 金制度において個体登録されていることが条件です。

 この事業の内容は、次のとおりです。

@ 奨励金の発動基準・単価

 奨励金は、生産者補給金制度で算定する品種区分ごとの平均売買価格が次の表の
発動基準を下回った場合に、それぞれの単価に対象となる子牛の頭数を掛けた額で
交付されます。

ア 子牛生産拡大奨励金(繁殖雌牛頭数を増頭した場合)
        (単位:千円/頭)
平 成 5 年 度
品種区分 発動基準 単価
黒 毛 和 種 350 28
褐 毛 和 種 320 25
その他肉専種 240 19
イ 子牛生産奨励金(繁殖雌牛頭数を維持した場合)
               (単位:千円/頭)
平 成 5 年 度
品種区分 発動基準 単価
黒 毛 和 種 320 18
褐 毛 和 種 290 16
その他肉専種 221 12
A 事業参加の窓口

 この事業は、繁殖雌牛の飼養農家が「子牛生産拡大計画」を作成して事業に参加
しておくことが必要です。その参加手続きは、最寄りの農協等で行っています。こ
の農協等とは、都道府県の肉用子牛価格安定基金協会から委託されて、生産者補給
金制度の事務を行っているところです。

(食肉生産流通部)


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