牛肉・肉用子牛


〔牛  肉〕

前年をわずかに上回る出回り量

 4年11月の推定出回り量(消費量)は、生産量は前年並みであったものの、輸入
量がかなり増加したため、7万6千17トンと前年同月をわずかに上回って推移した
(2.1%、図1)。

 11月末の推定期末在庫は、7万6千146トンと前年同月をかなり下回っている(▲
9.3%、図2)。輸入品在庫は本年度当初から、ゆるやかな増加傾向が続いていたが、
4月の関税10%の下げを前にして、一服した感がある。


生産量は前年並み

 11月の生産量は、3万8千936トンと前年並みであった(図3)。

 種類別のと畜頭数を見ると、和牛は、去勢和牛がわずかに減少したものの(▲1.
7%)、めす和牛がやや増加(4.7%)したため、和牛全体では5万3千400頭と前年
並みとなった(O.8%)。一方、乳牛は、乳おすがわずかに減少(▲1.2%)し、乳
めすもやや減少(▲3.2%)したため、乳牛全体では前年をわずかに下回り8万1千
900頭(▲2.1%)となった。


輸入牛肉の増勢鈍化

 11月の輸入量は、3万5千279トン(8.6%)と輸入量の増加は続いているものの、
増加率は、一桁台にとどまった(図4)。

 事業団が36商社から聞き取った独自の調査によると、12月の輸入見込みは、冷蔵
品は、11月並みの水準となり、冷凍品については、前月をやや下回ると見込まれ、
全体の輸入量は約3万3千トン前後と見込まれる。


卸売価格は全般的に低水準

 11月の省令価格(東京市場、以下同じ)は、景気後退による消費低迷、輸入牛肉
の出回り量の多さなどから、悲観材料を依然として払拭できず、1,052円/sと前
月より12円安で推移し、また、前年同月と比べてもかなり下回る水準となっている
(▲10.6%)。12月の速報値では、1,088円/sと卒っている(図5)。

 和牛の価格は、高級物にまで消費低迷の影響があらわれ、11月の価格は、去勢和
牛「A-5」2,601円/s、「A-4」1,961円/sと前年同月を下回り、12月は、やや回
復の気配はあるものの依然として低水準で推移している。

 乳用種の価格は、11月は、乳おす「B-3」1,065円/s(▲4.5%)、「B-2」812
円/s(▲9.4%)、乳めす「C-1」315円/s(▲3.1%)と、こちらも、低い水準
で推移している。12月の速報値は乳おす「B-3」1,055円/s、「B-2」779円/s、
乳めす「C-1」293円/sとなっている。

 11月の輸入牛肉価格(国内仲間相場)は、北米産チルドは、テンダーロイン、チ
ャックリブがやや値を上げた他は、全般的に保合で推移し、オセアニア産チルドは、
D−ランプ、トップサイドが値を上げた他は、総じて保合で推移した(図6)。


〔肉用子牛〕

乳用種はやや回復

 黒毛和種の11月の価格(雌雄平均、以下同じ。)は、40万3千円/頭と前月に比
べわずかに値を下げ、12月の速報値(12月20日現在。以下、この項同じ。)でも、
38万1千円/頭となっている(図7)。

 乳用種の11月の価格は、10月より値を上げ11万2千円/頭、また、12月の速報値
も12万9千円/頭と値を上げている。

 また、乳用種のヌレ子の11月の価格は、4万3千500円/頭とかなり値を回復した。
12月の速報値は、4万4千200円/頭となっている(図8)。


今月のトピックス
牛肉の家計消費、1ヵ月当たりステーキ2枚弱

 4年4月から10月までの牛肉家計消費(総務庁「家計調査報告」)は、月間、一人当たり265g、金額で821円となっている。昨年同期に比べると消費量は1.O%の増、金額では、1.7%の減少を示した。この数値、老人から赤ちゃんまでを含めた平均値とはいえ、150gステーキ2枚弱とまだまだ少ない。景気後退の影響で外食から内食への動きがあるが、家庭内での食生活に、もっと多くの牛肉が入り込める余地があるように思える。



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